東西南北

 ボルソナロ大統領が、イスラエルで癌治療用に開発され、「コロナにも効く」と噂される鼻から吸引のスプレーに興味を抱き、6日にエルネスト・アラウージョ外相らを派遣し、ブラジルでの第3段階の治験を行うための交渉を行わせる。人口約900万人とサンパウロ市よりも少ないイスラエルでは、ワクチン接種が早く進み、「発症が94%減」「死亡が98・9%減」などの報道もなされているが、コロナ患者での鼻スプレーの治験例は現地でも30件程度。鼻スプレーはサンパウロ総合大学で、治療用の血清はブタンタン研究所などでも開発中だ。イスラエルにおべっかを使うより、より多くのワクチンや治療薬の開発支援や承認に動くとか、自身がマスク着用の見本になる方がよほど効果があるように思うのだが。クロロキンの二の舞は避けたいところ。
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 コロナ禍の急速な悪化を受け、サンパウロ州でも規制強化を繰り返しているが、その直前から、とりわけ「学校閉校」をめぐるデモが目立っていた。2日にはサンカエターノ・ド・スルの学校関係者が棺桶を地面に置いて行ったデモが話題を呼んだ。同市ではすでに市立校での感染者が75人出ている。とりわけ子供だと「病気になるとかわいそう」の心情も働きがちだが、対面授業を受けられないことによる教育の遅れも長期的視点では大問題。もどかしいところだ。
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 コロナワクチンの接種は、サンパウロ州、リオ州でも77〜79歳まで対象年齢が下がってきたが、対象年齢になったということで、ロベルト・カルロスやネイ・マットグロッソといった大物歌手やペレなどが早速、接種を受けたと報じられている。国内だと誰でも知っている彼らのような有名人が宣伝役となってワクチン接種が早く進んでくれれば。