救済会総会=コロナ禍でも憩の園黒字に=300人以上の有志が寄付=記念誌を10月に出版予定

オンラインで総会に出席者した皆さん

オンラインで総会に出席者した皆さん

 老人福祉施設「憩の園」を運営する救済会(吉岡黎明会長)は13日午前10時から、第69会定期総会をオンラインで開催した。吉岡会長は「300人以上、たくさんの方の寄付のおかげで、コロナ禍の厳しい中でも黒字会計で閉められた。皆さんのおかげだと心から感謝したい。ワクチン接種により早く日常に戻れることを祈りたい」と感謝した。

 30人余りが出席する中、オンラインで定期総会は行われ、最初にこの1年間で亡くなった功労者、ブラジル日本アマチュア歌謡連盟の名誉会長・北川彰久さん、長年役員として貢献してきた大浦文雄さん、玉田ハクオさん、元ブラジルヤンマー社長の後藤隆さんへの黙祷が捧げられた。
 次に森田聡領事が来賓挨拶をし、「パンデミックの中で老人介護をする皆さんの苦労と努力をご推察申し上げる。外務省はコロナ禍における日系社会支援事業を始めるので、詳しくは総領事館サイトを見てほしい」と呼びかけた。

今年の活動予定を説明する吉岡会長

今年の活動予定を説明する吉岡会長

 本田イズム副会長が昨年の活動報告。19年12月の入居者が66人だったが、20年12月までに51人へと減らして運営を維持した。「100人の職員には感染対策の教育を徹底し、入所者のコロナ死亡は一人も出ていない」とし、すでに職員も入居者もワクチン接種済みと報告した。
 現状では入居者の76%が女性で、47%が日本国籍。16%が家族ナシだという。介護度合いの軽度・重度を含めて、入居者家族からの費用負担だけでは必要経費の半分以下しかまかなえていない状態。
 昨年3月19日から家族訪問を禁止した。その代わりにそれ以降、家族とのオンライン面談を222回も実施してきた。

記念誌出版を熱く語る本田副会長

記念誌出版を熱く語る本田副会長

 本田副会長は19年から憩の園の歴史を記した本の出版計画を進めており、今年10月15日、創立者ドナ・マルガリーダの誕生日に出版する計画だと発表し、出席者により活動報告が承認された。
 続いてブルーノ・カウケヴィシウス会計理事が20年度会計は支出が536万3975レアル、収入が562万3608レアルで、差し引き25万9633レアルの黒字だったことを報告し、承認された。19年度会計では15万8146レアルの赤字だった。昨年はパンデミックで運営費獲得のためのイベントが開催できなかったにも関わらず、篤志家からの寄付金が通年より30万レアル以上も多く集まり、現物寄付もたくさん寄せられた。さらに支出を19年度より8%も削減する努力が響いて、黒字化されたようだ。
 本年度の活動予定が吉岡会長から説明され、その場で承認された。さらに予算も同会計理事から収支ともに503万レアルとさら圧縮する経営努力をする予定だと発表され、承認された。在聖総領事館やJICAからの支援も計上されており、それで穴を埋める見通しになっている。
 佐藤直(すなお)前会長も「2020年は厳しい年だった。今後、日本企業、ブラジル企業にも協力を呼びかける取り組みをもっとしなければ。パンデミックでなければ、そのような件を顧問会の皆さんと話し合いたかった」と振り返った。
 最後にブラジル日本文化福祉協会会長代理の西尾ロベルト氏は「パンデミックの中で黒字会計になったと聞いて驚いた。これは日系社会からの信頼と証し。バイデン米大統領は78歳で世界の大国のトップという重責に就いた。それに比べれば我々はまだ〝若い〟。ワクチンも今打っている最中だ。日系社会のために、もう一働きしましょう」と呼びかけた。