JICA=日系団体に助成金を交付=施設新築改修は最大3億円=コロナ禍の打撃に補助金

 JICAブラジル事務局(江口雅之所長)は、ブラジルの日系団体に対しての補助「移住者の団体に対する助成金交付事業」を行うことを1月に発表した。この事業は、コロナ禍の影響で経済的打撃を受けている日系団体に対して補助金を支払い支援するもの。

 助成金の交付の原則は、移住者により構成された法人格の公益団体、そして団体の運営或いは事業の対象者が概ね日系三世までが対象だ。例えばブラジル日本都道府県人会(県連)や各県人会、救済会「憩の園」などの日系福祉団体、ブラジル日本語センターや各日本語学校、日伯援護協会などの日系の病院が当てはまる。
 助成項目は以下となる。
 (1)活動費助成―対象は日本語教育対策・文化対策事業・医療衛生対策(巡回診療、医療衛生、高齢者福祉)のいずれかを行う日系団体。
 助成額は、施設や団体毎に年間事業規模の5割の範囲内で経費の9割を上限に補助をする。
 (2)施設設備費助成―対象は、医療衛生・高齢者福祉・教育文化・生活環境整備・営農普及のいずれかに該当する日系団体で、施設の新築や改修及びそれに伴った設備の導入、附帯する備品の整備を行う所。
 助成額は、年間事業規模の5割の範囲内で、医療・福祉施設・農協は最大3億円まで。その他の施設は最大1千万円までとなり、いずれも経費の9割を上限とする。
 この助成金要件には、「特定の人の利益のみに貢献するものでないこと」や、「当該事業が営利を目的とするものでないこと」などが定められている。そのため、通常行う日系団体の食事販売等を対象にすることは難しい。したがって、例えば県人会の運営を維持するために使用するのは難しく、施設維持に必要な光熱費や人件費、税金などの経費も補助対象ではない。
 実施期間は2022年3月までで、事業完了報告と精算の提出が必要。同助成金は、概算金額を前払いで受給することが可能。一方で、概算よりも実際かかった費用が少なかった場合は返金することになる。もし概算より事業にかかった費用が多い場合は、助成金が交付された日系団体が負担する。
 同助成金の審査は、初めにJICAブラジル事務局が行った後、東京本部が再審査する。
 江口所長と門屋篤典次長は、「この助成金が、少しでもコロナ禍で大変な日系団体の助けになればと思います。審査方法や細かな質問などわからないことがあれば、ぜひご連絡ください。一緒に考えていきましょう」と述べている。
 詳細はJICAサイトの日ポ両語説明文(https://www.jica.go.jp/brazil/portuguese/office/news/2020/c8h0vm0000fd3ux6.html)で確認を。
 (電話=11・3251・2655/メール=br_oso_rep@jica.go.jp)

■大耳小耳■
 JICA助成金事業は、デリバリーイベントや施設運営維持への申請は難しい。一方で、高齢者福祉への補助などの項目が設けられているため、例えば弁当販売イベントを行う際に、一部高齢者への福祉目的で弁当を提供すると、それにかかる費用が補助される可能性があるかもしれない。コロナ禍でどこも経営が大変なので、少しでも助成金が貰えるように各団体で試行錯誤して申請し、日系社会を盛り上げてほしいところだ。