日本国外務省=海外在留邦人・日系人を支援=「生活・ビジネス基盤強化事業」=7月末までに在外公館に申請を

 日本国外務省は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により生活に支障が出ている海外在留邦人や日系人を支援するため、『海外在留邦人・日系人の生活・ビジネス基盤強化事業』(https://www.mofa.go.jp/mofaj/ca/cp/page22_003572.html)を開始し、希望する在外の諸団体からの申請を受け付けている。同事業は在外の日本人会、日本商工会議所、日系人団体等を通じて在留邦人・日系人コミュニティの感染拡大防止を図り、ビジネス環境作りや継続性の確保を目指すというもの。なお同事業による支援実施を希望する者は広く在留邦人等が裨益するよう、事前の広報を積極的に行った上で、非会員が排除されていない事業となるよう配慮が必要となる。

 同事業への申請は、日本在外の日本人会・日本商工会議所・日系人団体等の日本人や日系人によって構成される、非営利・非宗教・非政治の団体であることが必要。さらに原則として令和2(2020)年12月31日現在設立済みである事の条件全て満たす必要がある。

【契約額について】

 申請事業への支払額は1団体当たり300万円から2500万円を上限と定めており、申請事業の想定裨益人数や事業規模・内容等を総合的に勘案して契約額が決定される。
 申請事業の想定裨益人数から勘案した上限予算は
▼300人以下:300万円。
▼301人~500人:400万円。
▼501人~800人:500万円
▼801~1千人:600万円
▼1001~2千人:1千万円。
▼2001~3千人:1100万円。
▼3001~5千人:1200万円。
▼5001人~1万人:1900万円
▼1万1人以上:2500万円
 なお、執行状況等により上限額を見直すこともある。また、上限額の範囲内であっても、申請された事業内容に対象外の経費が含まれている場合などには、支払われる事業費の金額が減額することがあり得る。
 原則として1団体につき申請書類の提出は1回のみ。上限額の範囲内であれば最大2件までの申請が可能となる。予算の執行状況によっては2件目の事業実施が認められないこともある。
 2件の事業を実施する際、それぞれの事業で想定裨益人数が異なる場合は2件の事業総計分に対する上限額として、2件のうち想定裨益人数が多いほうの事業を適用し、その上限額の範囲内で2件の事業を計画する事ができる。
 企画事業がコロナウイルス感染症拡大状況や政府当局による中止命令が出る等のやむを得ない事情による中止や延期に係るキャンセル料の費用についても支払いを行う。
 ただし、事業実施団体の事情によって企画事業の中止や延期がされた場合にはキャンセル料等の支払い対象にはならない。
 申請する金額は、日本円に換算することなく、現地通貨で記載すること。契約額は、申請金額を日本円に換算した上で、上限額の範囲内で決定する。

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【精算について】

 事業費の支払いは、事業終了後の精算払いとなる。事業実施後30日以内または令和3(2021)年12月31日(金)いずれか早い期日までに、成果報告や支出報告書及び証拠書類等を在外公館に提出すること。提出した報告書類を元に最終的な支払額が決定される。
 確定後に在外公館から事業実施団体に通知されるので、請求書(様式自由)を在外公館に提出すること。請求書確認後に事業実施団体の銀行口座に支払額が振り込まれる。
 当地の事情で団体名義の口座がない場合は、各在外公館に相談を。

【申請期間と事業実施期間について】

 申請は3月15日~7月30日の期間内に、事業実施予定日2カ月前までに申請書類一式を在外公館に提出すること。ただし、上記申請期間内に申請額が本事業の予算額に達した場合は早々に募集を締め切る場合がある。
 なお、同事業へ申請する事業実施期間は、5月17日~12月31日まで。報告書類は事業実施後の30日以内、または12月31日いずれか早い時期までに提出すること。

事業の流れ(申請要領PDF内より)

【対象となる事業についての例】

 対象となり得る事業の一例としては、在留邦人や日系人を対象に「感染拡大防止に係わる啓発・情報提供事業」や「感染拡大防止に係る啓発のためのマスク、消毒液などの配布及びPCR検査等の実施」「健康相談などのホットライン開設」「感染拡大の影響を受けた日本企業や日系人事業者のビジネス環境づくりを目的とした、在留邦人・日系人を広く対象とするイベント等の事業」を例に挙げている。
 なお、非営利・非宗教・非政治の団体のみが申請できるように、事業も団体の営利を目的とするもの、宗教の布教目的や、政治活動・選挙活動を含むもの、特定の個人を利するものは対象外となる。
 さらに、該当団体から個人等に対して金銭(それに類するもの含む)や感染防止と関連性が低い物品の給付を行う事、団体の構成員である在留邦人や日系人に対してではなく団体そのものの福利厚生を目的とする事、その他同事業の目的に対し関連性の低いもの等も対象外となる。
 そのため対象となり得る事業と受け取れ、且つ対象外の事業に該当しない範囲での事業企画が必要。外務省が提示する感染拡大防止やビジネス環境づくり支援を目的とした事業例次のお折り。

【感染拡大防止を目的とした事業例】

▼感染拡大防止をテーマとした講演会やセミナー等(オンラインによるものを含む)
▼感染拡大防止の啓発を目的とした情報提供事業としての、ウェブ・ページ等による情報発信
▼各種イベント等における感染拡大防止の啓発コーナーの設置及び同コーナーにおけるマスク・消毒液等の配布。また、感染拡大防止のための啓発によらない、マスクや消毒液の配布や備蓄は不可。啓発活動等で活用する場合は、消耗品として扱うこととする
▼PCR検査やワクチン接種(一定の条件の下、接種対象が日本国籍保持者であれば、支援の対象とする方向で検討中)等の実施
▼現地滞在の日本人医師(いない場合は現地人医師)と契約して、健康や医療相談に関するホットラインを開設(一定期間、在留邦人や日系人が医師に相談可能)等

【ビジネス環境作りを目的とした事業例】

▼現地滞在の弁護士やコンサルタントと契約して、経営コンサルに関するホットラインを開設(一定期間、日本企業・日系人企業や日本人個人事業主等が相談可能)
▼日本企業又は日系人企業が出展する見本市の企画・開催
▼日本食普及イベント(現地の日本人個人事業主(日本食レストラン経営者等)を活用したイベント)等

【経費について】

 また企画事業内で対象となる経費は次の通り。
▼アルバイト等の人件費
▼講演会・セミナー等で講演する専門家への謝金
▼各種ホットライン開設の契約に係る費用
▼各種イベントへの出演料
▼翻訳・通訳費用
▼必要な警備要員への謝金
▼会場借料・機材借料
▼消耗品の購入費用(マスクや消毒液等の購入費用含む)
▼各種イベント等において日本食レストラン等を活用する際のケータリング費用
▼事業で使用するウェブ・ページ等の立ち上げの外注に係る経費
▼パンフレット・リーフレット等の印刷製本に関する経費
▼事業を行うために必要な通信運搬費(郵便料、運送代、通信・電話料等)、光熱水道料(電気、水道、ガス)等
 なお、耐久消費財(検温サーモグラフィー、空気清浄機、PC、車両等)の購入やサーバー借り上げ経費やウェブ・ページの運営に係る維持費等、事後精算後も継続して必要となる経費は対象外。通信運搬費及び光熱水道料は、明細(領収書)が提出できる場合のみ申請可能。

【事業の計画・実施上の留意点】

 同事業では、日本・外国政府問わず他の支援・助成スキームとの併用は不可とし、団体が事業費の二重取りする事は認めない。なお、申請団体が現在実施中の事業は対象外となるが、同事業の契約期間が終了した後に同様の事業で新規に契約する場合には対象となり得る。
 団体が事業実施にあたり事業費立替えの財源を確保するために資金を借り入れた際の利息は団体の自己負担となる。事業財源の確保自体は団体の自由裁量となり、企業などからの協賛金を募る等を行う事が可能。
 広く在留邦人等に裨益することを確保するため、事業実施団体の非会員の排除を前提とした事業は認められない。非会員にも積極的に広報を行った上で、現地事情及び事業形態に合わせた形で、広く非会員を裨益対象に含めるように配慮すること。
 複数団体が共催で事業を行う際は、代表する団体が申請すること。共催の場合であっても、一つの団体による単独開催の際と同様に、事業の想定裨益人数を基に支払上限額を設定する。また、在外公館との契約は、代表する団体のみと行う。

【審査基準について】

 在外公館が申請書類を受理後、まず外部機関の事前審査を行い、続いて外務省本省の本審査を経て契約の可否と契約額が決定。『事業内容』『実施体制』『信頼性』の3点を基準に審査を行う。
 事前審査及び本審査は申請書類に基づいて行われ、必要に応じて申請団体に聞き取りや追加資料提出を求める場合もあるという。
 『事業内容』では団体が申請の要件を満たしているか。申請された実施事業趣旨は同支援事業の目的と合致しているか。申請事業は対象外事業に該当しないか。非会員(留学生等)を排除する事業となっていないか。
 『実施体制』では事業計画が具体的で実施期間内の完了可能か。予算計画の妥当性や対象外の経費が含まれていないか。広く在留邦人等への事前広報が計画に含まれているか。
 『信頼性』では申請団体の信頼性を示す過去の事業実績はあるか、財務の健全性や会計上の問題を有していないか。事業の安全性や感染拡大防止策は確保されているか。
 審査結果の通知は、在外公館から申請団体に対して、審査の結果を電子メールで通知する。契約書が送付されるので、契約締結可能な時期につき相談を行うこと。
 ただし、契約前に発生した経費(申請書類作成にかかった費用や書類を在外公館に郵送する場合の送料を含む)については、本件事業の対象とならない。
 問合わせ先は4月上旬を目途に窓口を設置する予定だという。同事業の申請要領やQ&Aなどは外務省サイトの同事業案内ページで確認でき、書式のダウンロードも出来る。