《ブラジル》国勢調査員採用試験を中止=予算の大幅削減で実施を断念

2010年の国勢調査で(Divulgacao)

 地理統計院(IBGE)が6日、今年行う予定だった国勢調査のための調査員の採用試験を中止する事を決めた。
 IBGEは、国勢調査用の調査員18万1898人と各市の担当職員や監督官2万2409人を採用するため、今月18日と25日に試験を行う予定だった。だが、3月25日に承認された今年度予算案が大幅に修正され、調査用の経費も大幅削減されたため、採用試験を中止せざるを得なくなったという。
 予算委員会に提出された報告官の意見書は、国勢調査の予算を34億レアルから20億レアルに削減していたが、委員会審議の結果、IBGEの予算はさらに削減され、7100万レアルとなった。副報告官の一人は国勢調査の重要性を主張して予算回復を図ったが、大勢に押し切られた。
 今年の国勢調査は、本来なら昨年行われるべきものだったが、新型コロナのパンデミックのために延期された。国勢調査は10年に1度行われ、その結果は公共政策を決める際の基本的な資料とされるため、IBGEとしても調査そのものを中止する事は何としても避けたいところだ。

 IBGEは、経済省が特別支出を認め、調査実施のめどがついた時点で採用試験を行うつもりだが、特別支出認可の可否や、その時期などの見通しはたっていないのが実情だ。
 IBGEは昨年、国勢調査のために計20万8695人を採用する計画を立てていたが、パンデミックで調査が延期されたのを受け、採用試験を中止。詳細を検討し直して採用人数を計20万4307人に削減した上、今年の採用試験要領を作成していた。
 ブラジルではパンデミックのために例年を大幅に上回る死者が出ており、出生数を死者数が上回り、史上初の人口減少が起きている事が確実視されている。
 そういう意味でも今年の国勢調査は例年以上に重要で、歴代院長らも予算回復を求めているが、歳出削減の必要を訴える声は大きく、見通しが立たない状態が長引きそうだ。(6日付3月23日、同25日、6日付G1サイトより)

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