《ブラジル》大統領批判に国家治安法適用で波紋=メンデス判事が説明求める

 最高裁のジウマール・メンデス判事は5日、法務省に対し、ボルソナロ大統領のコロナ対策やコロナ禍の中での大統領の言動を批判した人たちに対して国家治安法を適用した理由を5日以内に説明するよう命じた。6日付現地紙、サイトが報じている。
 これは3月に行われた、ボルソナロ大統領への批判勢力に対する逮捕や捜査の理由として、国家治安法が使用されたことを受けてのものだ。
 ブラジリアでは三権広場で行われた、ボルソナロ大統領を「ジェノシダ(大量殺人者)」と呼んだデモで5人が逮捕された。

 リオ市では、同じく大統領を「ジェノシダ」と呼んだ人気ユーチューバーのフェリペ・ネットが連邦警察への供述を求められそうになった。これはリオ地裁の判断で無効とされた。
 また、ミナス・ジェライス州ウベルランディアでは、ボルソナロ大統領のネットの放送を見て、ネット上で批判を行った大学教授2人に警告処分が行われている。
 国家治安法は軍政時代に作られた法律だが、暴力的な行為を伴わないこれらの批判行為に対し、同法を適用するのは連邦政府側の検閲行為ではないかとして社会的な批判もあがっていた。
 メンデス判事の判断は、連邦司法支援局(DPU)や弁護士団体からの訴えを受けたもので、法務省の他、これらの事件に関与したリオ市警、連邦直轄区とミナス・ジェライス州の軍警も説明を求められている。