《ブラジル》コロナ死者、初の4千人超え!!!=世界最悪5千人突破の懸念も=米ファウチ博士「ロックダウンを」=大統領「家にいたら太るだけ」

1日の死者が4千人を超えたことの風刺画(Twitter)

 6日、ブラジルでのコロナウイルスによる死者が初の4千人台となる4211人(メディアの集計。保健省の統計では4195人)に達し、最多記録を更新した。専門家たちからは5千人台に達しうるとの懸念の声も出ているが、ボルソナロ大統領の事態を軽視する言動はなおも続いている。7日付現地紙、サイトが報じている。
 今回の4211人という数字は、2日が休日であったことなどで、直前の数日間に更新されなかった死者の分が加わっており、通常の火曜日以上に跳ね上がった。5日のセアラー州のように更新がもれた例もあり、3日から5日にかけての1日の死者数は2千人を切っていた。
 そのため、直近7日間における死者数の平均も、4月1、2日に3千人台を記録した後は徐々に低下していたが、6日の死者数急増により、5日の2698人/日から2775人/日(メディア集計)に上っている。
 この結果を受け、これは死者の最多記録にはならず、「5千人台に達するのではないか」との憶測も飛びだし始めた。サンパウロ市ブタンタン研究所のジマス・コーヴァス所長も5日に、その懸念を語っている。これまでの1日の死者の世界での最多記録は米国が1月12日に記録した4476人だ。
 6日の時点で、直近7日間の死者の総数がその前の7日間を下回った連邦自治体はアマゾナス州やバイア州など5州にすぎず、8州で微増、13州と連邦直轄区では大きな上昇を記録している。
 50%の死者数上昇を記録しているサンパウロ州では、先週から新規入院者が減少しはじめているが、サンパウロ大都市圏の集中治療室の占有率は91%、州全体では91・2%で、病床占有率がきわめて高い状態が続いている。このため、州保健局や新型コロナ対策の担当者も死者の減少を記録するのはまだ先と見ている。サンパウロ州も6日の死者は1389人で、過去最多を更新している。

 こうした状況に懸念を示しているのはブラジルの専門家だけではなく、米国のコロナウイルスの権威であるアンソニー・ファウチ博士も、「ブラジルは緊急にロックダウンが必要」との持論を展開している。
 だが、こうした状況にもかかわらず、ボルソナロ大統領は意に介そうとしない。大統領は4千人超の死者が出た6日、「家にいたって太るだけだ」とロックダウンや外出自粛規制を皮肉り、7日にはサンタカタリーナ州シャペコーを訪れ、同市のジョアン・ロドリゲス市長(社会民主党・PSD)も推奨する、大統領がかねてから推し進めている、クロロキンなどを使用したコロナウイルスの早期治療を改めて訴えた。
 クロロキンは米国のトランプ前大統領が推奨しようとしていた薬品で、ボルソナロ氏は昨年からコロナ治療薬として固執している。だが、ブラジル医師協会(AMB)などは、「コロナ感染症キット」と呼ばれる医薬品類を使った早期治療を行って、医師の診察を受けるのが遅れ、治療が困難になったケースが多発していると警告している。国家衛生監督庁(ANVISA)によると、このキットを使った患者が少なくとも9人、薬の副作用によって亡くなったことを確認している。
 他方、アマゾナス州マナウス市は7日、6万7千人を対象とした調査の結果、コロナバックは、1回目の接種だけで変異株P1に対して50%の感染抑制効果があることがわかったとの報告を行っている。P1はブラジルで現在猛威を振るっている変異株の中でも最大勢力のもの。しっかりした抗体ができるのは2度の接種後とされるが、1回の接種だけでこれだけの好結果が出たことは朗報としてとらえられている。

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