《ブラジル》国立聖書博物館に建設許可=高等裁長官が地裁の判断却下

聖書博物館の完成予想図(Divulgacao Instituto Niemeyer)

 高等裁のウンベルト・マルチンス長官が4月26日、ブラジリアで建設中だったが、連邦直轄区地裁が建設中止を命じた聖書博物館の建設を認める判断を下した。
 連邦直轄区地裁の判断は、地方政府の公的資金で(特定の宗教の聖典を展示する)聖書博物館を建設する事は世俗国家の原則に反するという、無神論者と不可知論者のブラジル協会(Ates)の訴えを受けたもので、建設工事は3月30日から止まっていた。
 連邦直轄区政府はこれに対し、新たな博物館は宗教施設ではないし、憲法は文化・教育的な物の価値を認めているとして上告。建設中断は建設業界や観光業界に対する経済的な損失を与える上、新型コロナのパンデミックの中での雇用拡大を妨げるとも主張した。
 これを受け、最高裁長官は、「ブラジルが世俗国家であるという事実は、宗教文化を扱う博物館の建設を妨げるものではない」として、博物館の建設を認めた。

 同長官は、「聖書を扱う博物館は、様々な宗教がある事を示す意味もあり、特定の宗教だけを取り扱う場所である事にはならない。博物館の存在はむしろ、ブラジルには様々な宗教がある事を明らかにするはずだ」とも述べ、博物館の建設を擁護した。
 連邦直轄区政府によると、聖書博物館はオスカー・ニーマイヤーが設計したもので、聖書を開いた形をしている。建設予定地はクルゼイロとセトール・ミリタール・ウルバノの間にあり、その広さは1万5千平方メートル。建設費は2600万レアルで、1400万レアルは連邦議員の議員割当金から支払われ、残りの1200万レアルは連邦直轄区政府が支払う事になっている。(4月27日付アジェンシア・ブラジル、同G1サイト、同ポデール360サイトより)

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