《コロンビア》「富裕VS貧困」抗争へ変質=長期の税制改革デモの直後に

 税制改革に反対する大規模なデモやゼネストが行われたコロンビアで9日、同国第3の都市カリで先住民と政府支持の富裕層との抗争が起き、先住民8人が負傷する事態が起きた。10日付伯字紙が報じている。
 9日のカリでは先住民によるイヴァン・ドゥケ大統領に対する抗議運動が行われており、ドゥケ大統領が軍兵士や警官などを派遣して鎮静化を図った。この際、富裕層のグループが警官隊に加担し、先住民のデモ隊に対して発砲行為などを行った。この結果、先住民側に8人の負傷者が生じた。うち3人は重傷だという。富裕層側からは負傷者は出ていない。

 コロンビアでは4月28日からはじまった税制改革反対デモが1週間以上も続き、国内が混乱している。特にカリでは、警察によるデモ隊の死傷事件でデモが激化していた。
 今回の抗争は、同国で悪化する富裕層と貧困層との対立激化を象徴する一件とも見られている。コロンビアの財政はパンデミックで悪化し、貧困層が生活に困窮していたが、税制改革で困窮がさらに強まっていた。
 中でもカリは、近隣に麻薬取引で有名なパシフィコ地区が存在することから、同国を代表する都市であると同時に、ギャングとそれに対する民間の自警団との抗争が激しいことでも知られていた。

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