《ブラジル》国家衛生監督庁が妊婦への接種中止を要請=サンパウロ州など即時停止

中止される前の5月10日、マナウス市で妊婦にコロナワクチンを接種する様子(Foto: João Viana / Semcom)

 国家衛生監督庁(Anvisa)が10日夜、持病のある妊婦へのオックスフォード・ワクチンの接種を即刻中止するよう要請する文書を発行、複数の州が一時停止を決めたと10、11日付現地サイトが報じた。
 同庁の要請はオックスフォード・ワクチンの使用説明書に従ったもので、国内で接種を受けた人に起きる副反応を詳細に観察する必要があるという。ファイザー社のワクチンは妊婦にも使用可能とされているが、超低温保管が必要なため、州都でしか使用できない。
 オックスフォード・ワクチンの使用説明書には妊婦への使用が記載されていない。説明書に明確な記載のない適用は「オフ・ラベル」と呼ばれ、個々の患者の状態を診た医師などの処方に従って使用する事が原則とされている。
 ブラジルでは妊婦が新型コロナに感染し、出産後に死亡したり、コロナ感染症が重症化したために帝王切開で子供を救ったが母親は亡くなったりする例が続いている。

 4月には、保健相が可能なら妊娠を見合わせるよう要請すると同時に、妊婦や産後45日以内の女性を優先接種の対象に加えた。妊婦への接種は5月開始の予定だった。
 一例はサンパウロ州で、18歳以上で慢性疾患を持つ妊婦や産後間もない女性約10万人への接種は11日からの予定だったが、Anvisaの要請を受け、州保健局が慢性疾患のある妊婦への接種停止を決めた。産後間もない女性への接種は予定通り行われている。妊婦への接種は保健省の指示を待って決める予定だ。
 同様の措置はリオ州やリオ・グランデ・ド・スル州、バイア州などでも採られている。州や市の接種停止措置は、保健省の方針が決まるまで継続される。

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