《ブラジル》サンバ界の巨匠、ネルソン・サルジェント死去=96歳、ワクチン2度接種も

サンバ界の巨匠、ネルソン・サルジェント(rosano mauro, via Wikimedia Commons)

 サンバ界の巨匠、作曲家や歌手として知られるネルソン・サルジェントが27日、リオ市でコロナ感染症のため亡くなった。96歳だった。27、28日付現地紙、サイトが報じている。
 ネルソンは1924年、リオ市で生まれた。本名はネルソン・マトスだが、4年間、軍に服役したことから「サルジェント(軍曹)」のあだ名がついた。
 サンバ音楽家としての成功は、31歳だった1955年、名門エスコーラのマンゲイラにエンレド(テーマ曲)として「プリマヴェーラ」を書き下ろしたことにはじまる。この曲は今日に至るまで、エンレドの名曲として語り継がれている。これ以降、ネルソンはマンゲイラとの結びつきを深め、2014年には名誉会長に選ばれた。

 「アゴニザ・マス・ノン・モレ」「エンカント・ダ・パイサージェン」などもヒットし、長く歌い継がれている。サンバの黎明期はいくら歌ってもまったく収入につながらない時代だった。そんな頃からひたすらサンバを愛し、55歳だった1979年には初めて自分名義のアルバムを録音し発表した。60歳のときには、サンバの名歌手パウリーニョ・ダ・ヴィオラらとグループ「ア・ヴォス・ド・モロ」を結成し、話題を呼んだ。
 ネルソンは、前立腺癌を患い、2005年からリオ市の国立ガン院(Inca)に通っていた。今年2月には2度目のコロナワクチンの接種も終えていたが、体調を崩して20日にIncaに入院。21日にはコロナ感染が確認され、最期は同院の医師たちが看取った。遺体は28日に火葬に伏された。

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