海外移住資料館=日系家庭に伝わる日本食紹介=企画展「日系人のレシピ」開催中

展示会場の様子

展示会場の様子

 【東京発=國分雪月記者】JICA横浜の海外移住資料館が4月27日~11月21日の間、企画展示『日系人のレシピ―受け継がれる日本の味と家族の記憶』をキッコーマン国際食文化研究センターの協力で開催している。展示では移住先各国のレシピ集やレシピを紹介する動画、食卓のジオラマの展示などを通して、女性の貢献や日系家庭の食の変遷などが紹介されている。
 陳列されたレシピ集は9つのカテゴリに分けられており、①仏教界をはじめとする宗教団体により出版されたレシピ集、②農協の日系婦人などにより出版されたレシピ集、③日系団体により出版されたレシピ集、④キッチンカーのレシピ集、⑤公設市場などで出版されたレシピ集、⑥エスニックフードとしてのレシピ集、⑦日系人の食を紹介したレシピ集、⑧手書きのレシピ集、⑨異文化における生活指南としてのレシピ集となっている。
 また、ブラジルのレシピ集で大きく取り上げられていたのはブラジル農協婦人部連合会(ADESC)の『Delícias mamaes』と佐藤初江さん著作の『実用的なブラジル式:料理と製菓の友』だ。レシピ集の内容の変化だけでなく、ADESCの活動まで紹介されている。
 他にも各国の日系人の食卓、日系人のお正月料理の紹介コーナーやサンパウロ市在住の宮崎茂美さん(山形、94)が日本語の単語を交えたポ語で思い出の「おむしごはん」のレシピを孫のラファエルさんに教えている動画が映されるなど、コミュニティの共通遺産や家族との思い出と深く関わっている様子がうかがえる。
 来場していた鈴木文子(ふみこ)さんと娘の愛乃(まな)さん(横浜)は、「どこの国の方も正月は日本料理でお祝いされているんだなとジーンときた」と話し、「日本食が日本を思い出す楽しみだったのではと思っていましたが、現地の食材で日本料理をつくる楽しみもあったのかな」と思いを馳せた。
 展示会場は海外史料館の企画展示室、10時から18時まで。最終入館は17時半までとなる。入館無料。
 問い合わせは同資料館(電話=045・663・3257、メール=jicayic_jomm_info@jica.go.jp)。詳細は同サイト(https://www.jica.go.jp/jomm/events/2021/210427_1121.html)。