《ブラジル》大統領関連の問題一気に噴出=ファイザー本社社長のメール無視=選挙時の違法献金も発覚=いまだにコロナ死者数を疑う

7日のボルソナロ大統領(Twitter)

 週末から週明けにかけて、ファイザー製薬のワクチンに関する手紙無視、大統領選挙の際の不正疑惑、虚偽報告など、ボルソナロ大統領にまつわる疑惑が次々と浮上した。7、8日付現地紙、サイトが報じている。
 週末に、決定までのあり方も含め、サッカーのコパ・アメリカのブラジル開催に難色を示すブラジル代表の人事に介入を試みた疑惑で物議を醸したばかりのボルソナロ大統領だったが、7日には他の疑惑が一気に噴出した。
 ひとつは、米国ファイザー製薬が昨年の9月12日に、ボルソナロ大統領にあてて手紙を直接送っていたことが判明したことだ。このことは、サイト「アンタゴニスタ」が情報公開法に基づいて入手した連邦政府の書類によって明らかになった。
 手紙の送り主はファイザー製薬米国本社会長のアルバート・ブーラ氏だ。この件に関しては、昨年8月に同社から連邦政府あてに3度のメールが送られ、政府が返答を行っていなかったことが報じられていたが、この手紙には「弊社の担当者が連邦政府の担当者と会合を行ったのに、その件に関する返答をまだ受け取っていないが」と書かれていた。
 この事実は、大統領府内部管理副室長のアイダ・イリス・デ・オリヴェイラ氏が9月14日にブーラ氏に宛てて、「あなたの手紙は受け取ったが、今後の連絡は保健省と取るように」と返答した手紙が見つかったことでも明らかになった。

 一方、7日には、ボルソナロ氏の2018年の大統領選に関し、企業家のオタヴィオ・ファコウリ氏が、選挙高裁に届け出ていない5万レアルの違法献金を行っていた事実が判明した。同氏は選挙グッズ(シールとパンフレット)の分として、二つの印刷所に5万レアルを支払っていた。
 このことは、最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が4日に、同判事が管轄する連邦警察の「反民主主義行為」捜査に関する情報開示を命じたことで明らかになった。
 ファコウリ氏は昨年の上半期に繰り返された反連邦議会・反最高裁のデモをネット上で煽っていた人物の一人。昨年の2月21日には「このデモのために、可能なかぎりたくさんのトラックを調達する」などと発言した記録も残されている。
 この反民主主義捜査に関しては、ボルソナロ大統領自らが参加したことで問題となった昨年4月19日のブラジリアの陸軍本部前の反民主主義デモに資金提供をしていたのが、ダマレス・アウヴェス人権相の部下だったことも判明している。
 7日はボルソナロ氏本人の発言でも問題を招いている。この日午前、大統領は官邸前に集まった支持者たちとの対談中、「連邦会計検査院(TCU)が昨年のコロナ感染症の死者の約50%について、真の死因を疑う報告書を送ってきた」と話した。
 これを受けて、TCUはその日のうちに「そのような文書を作成したことはない」と反論した。それを受け、大統領は8日午前、「あれは私の誤りだった」とし、失言であったことを認めた。だが大統領はなおも、「知事たちは死者を過剰報告している」と、コロナの死者数への疑問を口にし続けた。