《ブラジル》コバクシン疑惑=仲介企業の陰に大統領長男?=BNDESの貸付を世話か=契約締結直後には祝福も=ミランダ氏の証言直前に発覚

フラヴィオ氏の疑惑を報じるヴェージャ誌(Twitter)

 25日、保健省が2月にインド製のコロナワクチン「コバクシン」を当初の10倍以上の価格で購入する契約を交わした際、仲介した企業「プレシーザ・メジカメントス」を社会経済開発銀行(BNDES)に紹介したのはフラヴィオ・ボルソナロ上議(パトリオッタ)で、昨年10月に開かれたBNDES総裁と同社社長とのビデオ会議には同上議も出席していたことがわかったと、ヴェージャ誌が報じた。25日付現地サイトが報じている。
 25日は午後2時から、注目のルイス・ミランダ下議と、その兄弟で保健省勤務のルイス・リカルド・ミランダ氏が、上院のコロナ禍議会調査委員会(CPI)で証言を行う予定だった。コバクシン購入契約に関する疑惑をボルソナロ大統領に知らせ、連警に捜査させるとの約束まで得たものの、逆に大統領やオニキス・ロレンゾーニ官房長官の怒りを買い、自分たちが捜査対象になるよう仕向けられてしまった2人だ。だが、その直前にフラヴィオ氏の報が突然飛び込んできた。
 それによると、フラヴィオ氏は2020年10月13日、プレシーザの共同経営者のフランシスコ・マクシミアーノ氏とBNDESのグスターヴォ・モンテザーノ総裁とのビデオ・カンファレンスに参加していたという。この会議には、BNDES総裁とマクシミアーノ氏、フラヴィオ氏の他に、プレシーザ関連会社「シス・インターネット・フィブラ」社長のダニーロ・フィオリーニ氏も出席していた。会議は15時からで、出席者などはBNDES総裁の活動記録に記載されている。

 これを知ったヴェージャ誌がBNDESにこのときの会議の目的を尋ねたところ、「シス・インターネット・フィブラが投資用に新たな財政パートナーを求めていた」と答えた。BNDESによると、この会議の後、数回会議を行っているものの、その後の会議にフラヴィオ氏とモンテザーノ総裁が参加したか否かなどは不明だという。
 コバクシンに関するフラヴィオ氏の疑惑はそれだけではない。今年の2月27日、同氏は自身のユーチューブのチャンネルで、保健省がコバクシンの契約に至ったことを広報する同省製作の動画を拡散している。そのビデオではプレシーザが仲介に入り、2千万回分を1億6140万レアルで購買するという、ミランダ兄弟が問題とした契約内容がそのまま伝えられている。
 また、フラヴィオ氏が、申告のないままに突如購入したことで問題となったブラジリアの高級住宅の購買が行われたのも、このビデオ拡散の数日後のことだった。
 この報道を受け、フラヴィオ氏はSNS上で、「自分はプレシーザの社長とはつながりがない」と主張した。だが同時に「ただ単に、彼のためにBNDESが融資してくれるよう頼んだに過ぎない」と語った。
 ミランダ氏とリカルド氏のCPIでの証言は予定時間より大幅に遅れてはじまり、重大な内容のため、緊迫した雰囲気が漂っている。