《ブラジル》20日間続いた大捕物に幕=銃撃戦で一家殺害犯死亡=逃亡助けた人物の捜査続く

ラザロ容疑者(Divulgacao Policia Civil)

 【既報関連】6月9日に連邦直轄区(DF)で起きた一家4人殺害事件の犯人ラザロ・バルボーザ(32)が28日に逮捕されたが、逮捕時の銃撃戦で負傷し、病院に運ばれたが死亡した。警察は逮捕後も、逃亡を助けた人物の割り出しなどを続けていると29日付現地サイトが報じた。
 9日の事件は、DFセイランジアに住む48歳の男性と2人の息子(21歳と15歳)が銃と刃物で殺されたもの。連れ去られていた43歳の妻も、12日に自宅傍の森の中で遺体となって発見された。
 犯人は11日まで現場周辺に潜んでいたが、12日にゴイアス州コカルジーニョ・デ・ゴイアス市に移動。その後は同市やその隣のアグアス・リンダス・デ・ゴイアス市の農園への侵入や窃盗、誘拐などを繰り返しながら、森に潜んで逃亡を続けていた。
 これに対し、警察側は市警、軍警、治安部隊ら270人体制に加え、警察犬、ヘリコプター、熱源センサーを搭載したドローンなどを投入して追跡を継続していた。
 複数の情報源から犯人が知人などの助けを得て逃亡を続けている事などを掴んだ警察は、24日に食事や寝床を提供し、逃亡を助けていた農場主と管理人を逮捕。一段と包囲網を狭めていた。
 当局によると、ラザロ容疑者は薬物依存症で、攻撃的かつ衝動的な人物とされ、情緒不安定で自分をコントロールできない一方、犯罪時は非常に冷酷であったともいう。

 同容疑者の犯罪歴は19歳の時からある。バイア州とDF、ゴイアス州で繰り返した犯罪は殺人や強姦、強盗殺人、殺人未遂、脱獄、家屋侵入、窃盗、誘拐、銃の不法所持などとなっている。
 匿った疑いで24日に逮捕された農場主は、裁判官の質問にも黙秘を通した。だが、そこで働く管理人は、農場主が5日間、食事を提供したり、「扉は空いているぞ」と森に向かって叫び、家屋に入って休むよう促していたと供述している。
 同容疑者は土地勘があり、小川に入って警察犬をまいたりしていたが、警官や侵入を試みた農園の主人、使用人との銃撃戦で負傷。足を引きずって歩いていたという。
 また、母親への電話で「共犯者がいる」と語った事や、離縁した妻の家の傍で27日の夜、同容疑者を目撃したとの情報がある事、同容疑者が4400レアルの現金を所持していた事などから、元妻なども逃亡を助けていたと見られている。
 28日はロナルド・カイアド・ゴイアス州知事が「ラザロ逮捕」と発表と同時に、負傷した同容疑者を車から降ろして救急車に移した警官達が逮捕を喜ぶ姿や病院に運び込まれた同容疑者の姿などを伝える映像がテレビで流れた。その後間もなく「犯人絶命」と伝える報道が駆け巡った。
 20日に及ぶ捕物劇の間、包囲網に阻まれて帰宅さえできないなど、まんじりともできない毎日を過ごしていた地元住民は、やっと安堵した。
 ラザロ容疑者の叔母は28日、甥の死に動揺している事や同容疑者の母親は脅迫を受けて以来、携帯の電源を切っている事を明かした。正午現在では埋葬の場所などは未定。警察は既に元妻らからの事情聴取を始めた。

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