《サンパウロ市》ついにデルタ株の市中感染?=リオ州でも感染者確認=致死率高く、再感染が容易

デルタ株感染者が確認されたサンパウロ市(Rovena Rosa/Agencia Brail)

 5日夜、サンパウロ市市役所とリオ州保健局が、インド由来のデルタ株による新型コロナ感染者を確認したと発表したと5、6日付ブラジル・サイトが報じた。
 最初に報じられたのはサンパウロ市の例で、午後8時過ぎから「聖市で初のデルタ株感染者確認」とのサイト記事が続出した。
 デルタ株への感染が確認されたのは45歳の男性で、妻と養子、息子の3人と共に、在住地区の保健所(UBS)の観察下に置かれている。
 サンパウロ市は4月以降、州と提携し、新型コロナへの感染の有無を確認するRT―PCR検査の陽性者のサンプルの一部をブタンタン研究所に送っている。今回のデルタ株感染者は、ブタンタン研究所に毎週送られる約250件のサンプルの分析によって確認された。
 サンパウロ市では、サンパウロ総合大学(USP)熱帯医学研究所ならびにアドルフォ・ルッツ研究所にも約300件のサンプルの分析を依頼している。
 サンパウロ市の公共医療機関では昨年2月のパンデミック開始時から6月26日までに、新型コロナ感染者や擬似症患者209万5654人の観察活動を行っている。
 サンパウロ市では5月22日にグアルーリョス空港に到着したリオ州在住者がインド株に感染していた事が確認されて以来、空港やバスターミナルなどでの検疫体制を強化し、グアイアナーゼス区の総合病院をデルタ株感染者専用の収容施設に指定。空港で感染が確認された人用の宿泊施設確保なども行っているが、現時点では今回確認された男性の感染経路は不明だ。

 他方、リオ州でのデルタ株患者はセロペディカ市とサンジョアン・ド・メリチ市の在住者で、30歳の男性と22歳の女性だという。デルタ株への感染が確認されたサンプルは6月16日と17日に採取されたもので、両市保健局にはデルタ株感染も通達済みだ。両市では既に、他地域から持ち込まれたものか、市中感染かの確認作業を始めているという。
 リオ州の場合も、各市保健局と検査機関五つが提携して行っている陽性者のサンプル解析によってデルタ株への感染が確認された。同州で解析されているサンプルは月々約800件で、マナウス株(P1、ガンマ株)への感染が最も多いが、昨年11月に同州内で見つかった変異株のP2や英国株(アルファ株)への感染も確認されている。
 サンパウロ市とリオ州での感染者確認により、ブラジルでのデルタ株感染者は14人となった。デルタ株は感染力が強く、再感染が起こりやすい上、病状の変化が早く、致死率も高いとされている。国内では、パラナ州在住の42歳女性が発症から10日余り、マラニョン州に寄港した船の乗組員は到着から1カ月後に亡くなっている。
 なお、サンパウロ州で6月の新規感染者が過去最多の45万5305人だった事とデルタ株との関係は不明だ。サンパウロ州では内陸部での感染状態が悪化しており、病床占有率も高い。
 感染拡大が進んでいる地域では変異株の影響が疑われるだけでなく、新たな変異株の発生も起こり得るので、従来以上に慎重な感染対策が必要だ。

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