《ブラジル》世論調査でボルソナロの評価、最悪に=大統領選で3人に敗退予想=罷免支持が初の過半数超え=「汚職政権」と7割が判断

不支持率上昇を伝えるグラフ(Twitter)

 7〜8日に行われたダッタフォーリャの最新の世論調査により、ボルソナロ大統領が大統領選のシミュレーションで敗れ、政権支持率を過去ワーストにしただけでなく、罷免を望む声がはじめて過半数に達したことや、国民の7割が「政権内で汚職が行われている」と考えていること、軍の政治関与への拒否感が強いことなどがわかった。9〜12日付現地紙が報じている。
 今回の世論調査は、全国146市、2074人を対象に行われた。まず大統領選のシミュレーションでは、ルーラ氏(労働者党・PT)が5月調査時より5%ポイント支持率をあげて46%とした。ボルソナロ氏も2%P上げたが、25%にとどまった。以下、シロ・ゴメス氏(民主労働党・PDT)が8%、ジョアン・ドリア氏(民主社会党・PSDB)が5%、ルイス・エンリケ・マンデッタ氏(民主党・DEM)が4%で続いている。
 決選投票のシミュレーションでも、ルーラ氏対ボルソナロ氏なら46%対31%でルーラ氏、シロ氏とボルソナロ氏なら50%対34%でシロ氏、ドリア氏とボルソナロ氏なら46%対35%で、いずれもボルソナロ氏が惨敗する結果となった。
 ボルソナロ氏に対しては、59%の人が「大統領選では投票しない」と答えており、ルーラ氏とドリア氏の37%を大きく上回っている。
 また、ボルソナロ政権に対する評価も、「悪い/最悪」(不支持率)も過去最高だった5月の45%を大きく上回り、51%に達した。「良い/最良」(支持率)は24%で5月と変わらなかったが、自己ワーストのままだ。
 そして、「大統領罷免審理を進めるべき」が54%となり、はじめて過半数に達した。この件は5月の調査でも、「進めるべき」が「進めるべきでない」を49%対46%で上回っていたが、今回はついに50%を超えた。反対派は42%に減った。

 その背景には、ボルソナロ氏自身や政権への不信感が高まっていることがある。「大統領の言葉を信じるか」との質問には、55%が「信じない」と答え、「ときどき信じる」の28%、「常に信じる」の15%を大きく上回った。
 さらに、「大統領には能力があるか(有能か)」には、58%対36%で能力なし、「正直か」には38%対52%で「正直ではない」、「賢明か」には39%対57%で「賢明ではない」、「誠実か」には39%対55%で「不誠実」、「決断力があるか」には41%対57%で「ない」、「独裁的か、民主的か」には66%対28%で「独裁的」、「国を率いる用意ができているか」には34%対62%で「できていない」となった。
 「貧しい人と金持ちのどちらにより敬意を払っている」では、貧しい人と答えた人が24%から17%に減り、「金持ち」が57%から66%に増えた。このあたりの変化は、企業家では「大統領の言葉を信じる」が38%いるのに、失業者では「大統領の言葉を信じない」が63%いることなどにも表れている。
 「ボルソナロ政権には汚職があるか」には、70%が「ある」と答え、23%の「ない」を大きく上回った。同政権は発足以来、「汚職のない政権」を常に主張してきたが、国民のイメージは大きく崩れており、「汚職は増える」と見る人の56%は、「汚職が減る」の13%や「現状維持」の26%と比べ、圧倒的に多い。
 国民の62%が「軍は政治的な抗議行動などに参加すべきでない」と答えており、58%は「政治的役職を得るべきではない」とも考えているなど、軍の政治関与への不信感が強いこともうかがわせた。
 ボルソナロ氏は12日、明確な証拠を見せないまま、「金をもらって不正な調査を行った」として、ダッタフォーリャを批判する発言を行った。