《記者コラム》ストレスで入院? 孤立感強める大統領

ボルソナロ大統領(Fabio Rodorigues Pozzebem/Agencia Brasil)

ボルソナロ大統領(Fabio Rodorigues Pozzebem/Agencia Brasil)

 ボルソナロ大統領が14日朝、腹部の痛みなどを訴えて首都の軍病院に検査入院した。これにより、同日予定されていた最高裁長官や上下両院議長との会議は中止された。
 このところの支持率低下や汚職疑惑に加え、10日以上しゃっくりに悩まされていたとの記事を見た。それに加え、フェイクニュースや反民主主義的な行為に関する捜査を管轄するアレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事が、18年選挙で起きた違法な形の大量のニュース拡散に大統領が関与していた事を示す証拠の公表を承認といった記事も見た後だけに、検査入院と聞いた途端、ストレスが原因かもとの思いがよぎった。
 リーダーには、他者との対話を保ち、違いを尊重する姿勢なども求められる。だが、このところのボルソナロ氏はバイクのデモ行進を繰り返し、「来年の選挙はない」と言い出した他、選挙高裁長官でもあるロベルト・バローゾ最高裁判事を「下衆野郎(imbecil)」とののしるなど、攻撃的な姿勢が際だち、孤立化していた。
 この事は大統領周辺の人達も気にかけ、忠告していたと報道されている。14日に予定されていた三権の長達との会議も、状況を見かねた最高裁長官が個人的に忠告した後、予定を組んだものだった。
 思うように事が動かない時などは、普通の人でもストレスを感じ、胃が痛んだりする。大統領のような立場にあればなおのこと、日毎の重圧やストレスは凡人の比ではないはずだ。
 だが、大統領選に出馬して実際に選ばれた人には、孤独に耐える事や、選んでくれた人や選に漏れた人の分まで努力し、責任を果たす事も求められる。例え、それが意に沿わぬ事であってもだ。
 「ラヴァ・ジャットは終わらせる。今の政権には汚職はないからだ」と発言するなど、大統領は政権内の汚職の存在を否定してきた。だが、アマゾンの違法木材輸出やワクチン購入問題などで汚職の疑惑が高まるなど、大統領を取り巻く状況は日に日に厳しさを増している。
 大統領がキリスト者を自称し、神の名を頻繁に唱えるなら、それに相応しい行動や決断を求めたい。と同時に、国が正しい方向に向かえるよう、全ての人がリーダー達のために祈り、支える事も願いたい。   (み)

★2021年7月14日《ブラジル》ヴェージャ誌などがスクープ連発=ワクチン不正契約に大統領夫妻が直接関与?!=謎の交渉人の通話記録で発覚「「ミシェレが現れた」とも

★2021年7月13日《ブラジル》世論調査でボルソナロの評価、最悪に=大統領選で3人に敗退予想=罷免支持が初の過半数超え=「汚職政権」と7割が判断