《ブラジル》コロナ禍=デルタ株の感染者増加続く=死者数は減少傾向だが

ワクチン接種が進み、人の姿も増えた街角(Tomaz Silva/Agencia Brasil)

 新型コロナのワクチン接種が高齢者中心に死者減少を招き、新たな死者の7日間平均は1100人台を保っているが、感染力がより強いデルタ株(インド株)の感染拡大で懸念も広がっている。
 25日現在の感染者は1968万8663人、死者は54万9924人だ。24~25日に登録された新規感染者は1万8129人で、日曜日としても少な目だが、感染学上の第29週(18~24日)の感染者は前週比で20・0%増の32万8086人だった。
 これは23日に感染者が10万8732人増えた事が原因で、7日間平均の感染者は22日の3万7313人から4万6333人に跳ね上がった。
 22~23日に登録された感染者は6月23日の11万5228人に次ぎ、過去2番目となる数字だが、これは南大河州で感染者が6万4036人増えた事による。
 南大河州は、ペルーで見つかり、約30カ国に感染が広がっているラムダ株(LambdaまたはC37)の感染者が確認されている数少ない州で、同州政府は6月、アルゼンチンとの国境の検疫強化の必要を説いた。同州ではデルタ株感染者も3人出ているが、通常とは違う極端な感染者増は同日だけで、ラムダ株その他の変異株がどのような影響を及ぼしているかの説明はない。
 23日付伯字サイトによると、全国でのデルタ株感染者は同日夜の時点で143人に増えた。内訳は、リオ州88人、聖州15人、パラナ州13人、連邦直轄区6人、マラニョン州7人、サンタカタリーナ州5人、南大河州とペルナンブコ州各3人、ゴイアス州2人、ミナス州1人だ。同株による死者は、パラナ州とリオ州各4人にマラニョン州1人の計9人だ。

 デルタ株感染者最多のリオ州ではPCR検査陽性者の検体を調べた際に判明した同株感染が、13日の2・1%以降、15日5・9%、16日9・8%、17日12%と増え続け、近日中に感染の主流はデルタ株になるとの声が出ている。
 全国ではまだ新規感染者の90%以上がガンマ株(マナウス株)感染者で、同株がデルタ株やラムダ株の急速な拡大を防ぎうるとの説もあるが、この点は専門家の意見が分かれている。米国の新規感染者の大半はデルタ株だが、ガンマ株感染者が多いイリノイ州ではデルタ株はガンマ株の6分の1のみだという。
 デルタ株感染者の多くは未接種者で致死率は当初言われた程高くないようだが、どの株に対しても、ワクチン接種と手指の消毒、マスク着用、社会的距離の確保の継続が基本的な対策だ。
 ワクチン接種効果もあり、第29週の死者は前週比で2・3%減の8182人。前週比で死者が増えた州は10あるが、7日間平均は24日こそ1169人に増えたものの、23日1135人、25日1101人と減少傾向が続いている。
 学校での対面授業再開に向けた教職員への接種なども進む中、ケイロガ保健相は26日、デルタ株の感染拡大抑制効果を狙い、ファイザー社ワクチンの接種間隔を3週間にする可能性も示唆したが、実施日程は未定だ。
 先週から今週にかけては1日で200万回以上の接種を行う日もあったが、ワクチン不足で接種を中止した州都なども出ており、迅速なワクチン配布が望まれている。