メダルだけでは測れない各人の価値

 

ウゴ・カルデラノが卓球でブラジル初の準々決勝進出を達成と報じる27日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部

ウゴ・カルデラノが卓球でブラジル初の準々決勝進出を達成と報じる27日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部

 23日に開幕した東京五輪では連日、悲喜こもごもの歴史が刻まれている。
 27日にブラジル初の金メダルを獲得したサーフィンのイタロと、金の期待を負いながら4位に甘んじたメディーナ。ブラジルの体操選手のフラヴィアや米国の体操選手で金メダリストのバイルズのように、演技中のケガで途中退場の例も然りだ。
 メダルこそ逃したがブラジル初を記録した選手もいる。サーフィンやスケートの選手は全てブラジル初の五輪出場だし、28日に準々決勝で敗れた卓球のウゴ・カルデラノは卓球ではブラジル初の準々決勝進出者。ウゴと同僚のグルターヴォ・ツボイのブラジル人2人の16強同時進出も初めてだった。
 柔道女子70キロ級のマリア・ポルテラは、史上最長の14分の取り組み後、3度目の指導を受けて敗北という結果に涙した。
 決勝には進んだが入賞を逃した選手や初戦敗退した選手、東京到着後の手術や出発直前のコロナ感染判明で出場を諦めた選手もいる。五輪出場を逃し、涙を飲んだ選手は数え切れない。
 ブラジル初の金メダルをもたらしたイタロは、魚を売っていた父から借りた発泡スチロールの箱の蓋でサーフィンをやったといった話や、フィリピン初の金メダリストとなった女子重量挙げの選手の涙も胸を打つ。
 五輪前や開幕後も、コラム子にはコロナ禍で会う事さえかなわず亡くなった友人や恩人がいたし、すぐ骨折する「ガラスの骨」という病気の人の子供も同じ病気である事が判明という記事も読んだ。
 誰であれ、今生きている事や毎日積み上げている歩みは勝利だし、皆がかけがえのない価値を持っている。
 各選手の歴史はいかにと思いながら、五輪中継を見、結果を伝える記事を読む毎日が続いている。メダルの有無には関わりなく、「今いるところで精一杯やった」「周囲の支援で今がある」と言える人達に心からの拍手を送りたい。 (み)