JICA=尾崎医師らモザンビーク調査=保険制度など医療改善貢献へ

尾崎ミウトン正幸医師、横田クラウディオさん(写真撮影のため一時マスクを外している)

尾崎ミウトン正幸医師、横田クラウディオさん(写真撮影のため一時マスクを外している)

 日伯パートナーシップ・プログラム(JBPP)の第三国協力プロジェクトによるモザンビークへの調査で派遣された医師らが6月帰伯した。派遣医師のひとり尾崎ミウトン正幸医師(68歳、三世)が7月5日に編集部へ来社して報告した。
 調査団として派遣されたのは、聖州医師協会(APM)にある病院の品質向上に取り組むCQH(Compromisso com a Qualidade Hospitalar)プロジェクトに参加する医師3人で、6月7日から18日間派遣された。
 この調査は、JICAとモザンビーク保健省(MISAU)、日伯パートナーシップ・プログラム(JBPP)の三角協力に基づき、同国の医療水準向上を目指す開発協力として来年実施するプロジェクトの方向性を決定するために行われたもの。
 JICAプロジェクトだが、日本から直接に支援するのではなく、同じポルトガル語圏の先輩国を経由して支援するのが「第三国協力プロジェクト」だ。同じ言語圏ならではの緊密さと理解度の高さによる効率性が期待される。
 同国では伯国の統一医療保険システム(SUS)のような「誰でも医療を受ける事が出来る」制度を整えようとしており、伯国を成功例として経験を活かしたいと考えているという。
 同国のSUS制度設備について尾崎医師は「モザンビークはとても貧しい国で、財政面に大きな課題がある。達成には日本の経済的支援が不可欠」と調査をおえての見解を語った。
 派遣期間内に医師らは首都マプトの保健省や国立医療支援局、保健所、病院など諸医療保健機関でフィールド調査を実施。調査で見つかった課題に対する改善策について、報告や提案を同国保健省責任者ルイザ・パンゲネ医師や駐モザンビークブラジル大使館にむけて行った。
 尾崎医師によると同国の平均寿命は57歳。死因の25%はエイズで、次いでマラリアや結核が多いという。平均寿命の若さから「人口年齢割合の多くは若者だが、流産や新生児の死亡率も高い」との現況を語る。
 背景には自然分娩による助産技術の未熟さや、病院に新生児用ベッド数が少なく一つのベッドに2人寝かせている状況だという。
 JICAは同国国内の現状改善のため、新生児病棟4棟の建設計画や医療経営の教育コースを開設するなど取り組んでいく予定だという。