《ブラジル》コロナ禍=デルタ株感染者は倍に=死者や入院者は減少だが=ガンマ株から入れ替わり

デルタ株ウイルス(Instituto Adlfo Lutz)

 新型コロナのワクチン接種により感染者や死者、入院患者は減少しているが、デルタ株による感染確認例は1週間で98%増という懸念すべき実態が明らかになった。デルタ株による感染は拡大傾向にあり、リオ州では再開したばかりの対面授業を中止する自治体も出ていると9~10日付現地サイトが報じた。
 インドが発生源のデルタ株は世界中で感染再燃を招いている。10日夜の保健省の発表によると、国内で確認された同株感染者は570人に増え、新規感染者に占める割合も高まっている。ただし数万単位の感染者数全体からすれば、まだまだ少ない。
 10日現在のデルタ株感染者は、リオ州206人、サンパウロ州96人、連邦直轄区75人、リオ・グランデ・ド・スル州64人、パラナ州54人、サンタカタリーナ州34人、ゴイアス州10人、マラニョン州とエスピリトサント州各7人、ペルナンブコ州5人、ミナス州とセアラー州各4人、パラー州3人、アラゴアス州1人だ。
 同株による死者は、パラナ州19人、リオ州6人、リオ・グランデ・ド・スル州5人、連邦直轄区2人、ゴイアス州とペルナンブコ州、マラニョン州、サンタカタリーナ州各1人の計36人となった。
 汎米保健機関(OPAS)の8日の発表によると、7月に確認された世界中の新規感染者の約9割はデルタ株感染だから、国内で感染者最多のリオ市でも新規感染者の45%という数字はまだ低い。
 専門家は、ワクチン接種が進んでいる事と、ブラジルでは新規感染者全員がマナウスで発生したガンマ株感染という市があるなど、ガンマ株による感染者が60%を占めている事が、デルタ株の爆発的な感染拡大を防いでいると見ている。

 それでもなお、7月27日は12・8%だったデルタ株感染者が38・5%に増えた事は、同株の感染力の強さを示す。
 デルタ株による感染者最多のリオ州では、感染学上の27週(7月4~10日)以降の5週間中4週で感染者、3週で死者が増えており、31週(1~7日)の新規感染者は前週比で49・6%増の2万7072人だった。同州では感染再燃を受け、州立校が対面授業を停止した市が13日現在で36出ている。
 他方、アドルフォ・ルッツ研究所の報告で新規感染者の23・5%がデルタ株感染というサンパウロ州では、外出規制緩和や対面授業再開計画を見直す動きは出ていない。
 なお、感染学上31週の新規感染者は23万3924人。前週比で5・4%減、死者も6382人で前週比7・8%減。とはいえ死者が前週より増えた州が15など、手放しで喜べない状態だ。
 また、10日現在の感染者累計は2021万2642人で、7日間平均は3万2403人、死者累計は56万4773人で、7日間平均は906人となった。死者の7日間平均は5日に800人台に落ちた後、再び900人台に戻っている。
 7月は小規模市中心に、死者ゼロだった市が約30%あり、ワクチン接種効果が確認されている。他方、米国ではデルタ株による死者や入院者が増加中で、死者の99%がワクチン接種を拒んだ人とされる。
 そこからの連想で、ブラジルでも2度目の接種を受けていない人が多い事や、再接種までの間隔が長い事、デルタ株による感染拡大から、感染第3波を懸念する声も一部で出ている。

★2021年8月10日《ブラジル》高齢のコロナ入院者が増加=カンピーナスでは集団感染=死者減少中だが若者接種進行で
★2021年8月3日《ブラジル》コロナ死者の7日間平均が千人切る=第2波前の1月の水準に戻る=デルタ株感染者247人に
★2021年7月28日《ブラジル》コロナ死者が55万人超す=デルタ株感染者は169人に=コバクシンの治験は停止