沖縄移民研究塾=『群星』6・7合併号刊行=コロナ禍超え、歴史掘り起こし=発刊継続に寄付を呼びかけ

来社した皆さん(左から島袋栄喜さん、宮城さん、島袋安雄さん、高安さん)

来社した皆さん(左から島袋栄喜さん、宮城さん、島袋安雄さん、高安さん)

 「激動のコロナ禍の中で、ようやく発刊できました。『群星』を多くの人に読んでもらい沖縄移民の歴史を認知してほしい」―ブラジル沖縄県人移民研究塾の宮城あきら塾長は『群星(むりぶし)』第6・7合併号の刊行にあたってそう胸中を語った。3日、島袋栄喜沖縄県人会元会長、島袋安雄さん、高安宏治と共に来社した。

 『群星(むりぶし)』第6号は当初20年9月に刊行予定だったがコロナ禍で延期となり、第6・7合併号としてこの8月に発刊された。沖縄県民の移住体験談やコロナ禍の沖縄系日系社会の動向、ボリビアに移民した沖縄県民、サントス事件の証言など盛りだくさんな内容が掲載されている。
 島袋安雄さんは「琉球古典音楽継承の歴史、沖縄太鼓や古武道、笠戸丸移民大田向雪、日系人とは何か―などさまざまな内容が詰まっている。ぜひ皆さん読んでください」と呼びかけた。
 宮城代表は、「悲劇的な日本人迫害であるサントス事件の証言をぜひ読んでほしい。折しも、同事件を題材とした松林要樹監督の『オキナワ・サントス』も日本で公開中。来年あたりブラジルでも上映できないかと期待している」と語った。

群星合併号

群星合併号

 高安さんは「ボリビアに渡った移民の歴史とその体験談も掲載しています。私も幼少期に家族でボリビア移民としてきました。ボリビアもブラジルも沖縄とは縁が深い。この本を読んでそのことを知ってほしい」とコメントした。
 島袋元会長は「言葉の問題もあり、一世は自分が体験した苦労を子どもたちにあまり語ってこなかった。子どもたちは物心ついたときには豊かな生活をしており、それに疑問を感じていない。そんな、一世が語り継げなかったいろいろな想いを、この本に託し、ポルトガル語に翻訳して子孫にも読んでもらえるようにしている」との刊行の意義を説明する。
 日ポ両語で304頁。本紙編集部や沖縄県人会本部で配布中だ。これまでこの本の経費は寄付によって賄われ、無料配布されてきた。だがコロナ禍で寄付者も打撃を受け、今回から幅広い寄付を呼びかけている。「金額は気持ちで決めて」とのこと。冊子に挟み込まれた書類に寄付振込先も書かれている。
 宮城塾長は「今まで多くの人の支えがあり無料配布していたが、コロナで支援者の一部が経済的な打撃を受けてしまいました。発刊し続けるために、今後は皆さんにもご協力をいただきたい」と寄付を呼びかけている。
 問い合わせは同県人会(11・3106・8823)、編集部(11・3340・6060、担当淀)まで連絡を。