《サンパウロ市》〝ワクチンフェス〟で50万人=歌手や芸人呼び34時間打ちっぱなし=成人の98%が1回目接種

音楽も用意してワクチンフェス(Govesp)

 

 18歳以上の成人への新型コロナワクチン接種加速のため、サンパウロ市が14~15日にヴィラーダ・ダ・ヴァシナ(夜通しワクチンフェス)を開催するなど、各地で接種推進への試みが進んでいる。と同時に保健省や専門家が「2度目の接種を忘れずに!」「ワクチンは有効」と強調する事態も起きていると15~16日付現地紙、サイトが報じた。
 サンパウロ市市役所は440人のアーティストを投入して、34時間のワクチン接種プログラムを計画。通常なら週末は休む保健所(UBS)も開放し、ショッピングセンター、ドライブスルー会場などでも接種を行った。
 デルタ株感染への恐れや家族や知人などを失った経験などから接種を待ち望んでいた若者達が押し寄せ、2時間を超える列ができた会場もあったが、接種後の若者達は一様に安堵の息を漏らし、喜びの笑みを浮かべた。
 15日付G1サイトや16日付アジェンシア・ブラジルによると、ヴィラーダで接種を受けた人は2日間で50万人を突破。これにより、少なくとも1回接種を受けた人は成人人口の98・5%に達した。

真夜中に接種を受ける若者(Govesp)

 だが、長蛇の列にも関わらず、接種を受けようとする人がいる一方、ワクチン接種を完了した著名人が感染、死亡する例が続き、「接種を受けても意味がない」との虚報が流れた事もあり、接種をためらう人や特定のワクチンへの不安を口にする人も出ている。
 だが、コロナバックで2度の接種を受けたタルシジオ・メイラ(85)が亡くなった後も、専門家達は100%効く予防接種はない事や接種完了後も防疫対策継続の必要がある事を説き、接種継続を呼びかけている。
 一例は、サンパウロ総合大学(USP)が行った調査で、5~7月に新型コロナ感染症で死亡した人の91・49%は未接種か接種を完了していない人だった事が判明。接種後に死亡した人の84・9%は基礎的疾患を持っていた事や、87・6%は70歳以上だった事も明らかになった。
 オズワルド・クルス財団(Fiocruz)がリオ市やサンパウロ市で行った調査では高齢者の感染、入院の増加が確認されているが、高齢者は免疫能力が低く、ウイルスやバクテリアによる感染やガンなどの病気に侵され易い上、予防接種効果が低い例や抗体が早めに消滅する例も起こり得る。
 ワクチンは重症化や死亡は避けるが、感染は起こり得るし、他者への感染も起こし得る。また、2度の接種か1度のみのワクチン接種を終えた接種完了者も、ウイルスが大量に拡散していると感染し易くなるため、接種完了後もマスク着用や手指消毒、社会的な距離の確保といった防疫対策は継続する必要がある。

★2021年7月29日《ブラジル》保健省も青少年への接種承認=ワクチンの接種間隔見直しも=サンパンロ州は接種計画の前倒し発表
★2021年7月21日《ブラジル》予防接種開始から6カ月=ワクチン不足で接種率伸びず=過半数接種第1号はサンパウロ州

★2021年7月13日《ブラジル》コロナ死者、感染者の減少続く=ワクチン接種の効果顕著に=サンパウロ州が青少年向け日程発表