《ブラジル》大統領大物支持者に家宅捜索=最高裁や議会への威嚇発言で

セルジオ・レイス(Twitter)

 20日、連邦警察は大御所セルタネージャ歌手のセルジオ・レイス(84)とオトニ・デ・パウラ下議(キリスト教社会党・PSC)に対する捜査を行った。最高裁のアレッシャンドレ・デ・モラエス判事が管轄する「デジタル・ミリシア(ネット犯罪者)」捜査の一環だ。特に、レイス氏のネット上での最高裁や連邦議会を威嚇する言動は問題となっていた。20日付現地サイトが報じている。
 この日の捜査対象となったのはレイスとオトニ下議だけにとどまらず、両者の関係者含め計10人に及んだ。検察庁のリンドーラ・アラウジョ副長官の要請で出された捜査令状は13件だが、家宅捜査そのものは、連邦直轄区29カ所、サンタカタリーナ州6カ所、サンパウロ州2カ所、リオ州、マット・グロッソ州、パラナ州、セアラー州各1カ所と、広範囲で行われた。
 この捜査はモラエス判事が命じたものだが、熱心なボルソナロ大統領支持者として知られるレイス、オトニ両氏はともにネット上の言動が問題となっていた。
 レイス氏は15日、ロベルト・ジェフェルソン元下議がネット上で行っていた過激な言動が理由とするデジタル・ミリシア捜査で逮捕された翌日の15日、動画を通じて「大統領を守り、ブラジルを救うためにブラジリアでキャンプを張ろう」と訴え、ネット上で騒動を引き起こした。

 さらにその後、同氏が8日にワッツアップ上で行った言動が問題となった。レイス氏はその中で、11日に下院で行われることになっていた「印刷付き電子投票」を通過させるために、「まずはロドリゴ・パシェコ上院議長に最高裁の11人の判事を解任させよう。さらに議長に圧力を加えるべく、トラック・デモを行おう」と提案していた。また、「最高裁に侵入し、全てをぶち壊せ。やつらを引きずり出すんだ!」と呼びかける動画も流している。下院に発覚後、レイス氏は涙で謝罪していた。
 一方、オトニ下議は、6月16日と7月5日にモラエス判事を侮辱する発言をネットの生放送で行っていた。同下議は昨年6月に「虚報を拡散させるために違憲の資金提供行為を行った」疑惑を持たれ、フェイクニュース捜査の対象となっていたが、今回、引き続いてこの件で捜査されることになった。
 捜査対象となった10人の内、オトニ下議を除く9人は、三権広場への接近が禁じられた。また、全員がコンピューターや各種の書類などを押収され、フェイスブックやツイッターその他のアカウントも封鎖された。