《ブラジル》ルーラのアチバイアLJ裁判がお蔵入りに=大統領選に向けて前進か?

ルーラ元大統領(Valter Campanato)

 ブラジリアの連邦地裁は21日、ルーラ元大統領に関するサンパウロ州アチバイアの別荘改築を介した収賄および資金洗浄疑惑に関するラヴァ・ジャット(LJ)裁判を再開するようにという連邦検察庁からの要請を棄却する判断を下した。22日付現地紙、サイトが報じている。
 この件は、サンパウロ州アチバイアの別荘の改築工事を介して、OAS社とオデブレヒト社にペトロブラスの事業を斡旋した謝礼として、ルーラ氏が合計約100万レアル分の賄賂を受け取っていたとされる贈収賄疑惑に関するもの。2019年2月に1審、同年11月に2審で有罪判決を受けていた。
 ルーラ氏はこの件で、1審で12年11カ月、2審で17年1カ月と10日の実刑判決を受けた。だが、21年3月に、エジソン・ファキン判事が「ペトロブラスとの関連性が不透明」として、同件を含む4件の裁判をLJ作戦絡みの案件として扱い、クリチバ地裁で裁くことを無効とした。この判断後、これらの裁判はブラジリア地裁に回されていた。
 ポリアナ・ケリー・マシエル・マルチンス・アウヴェス判事は21日、「新たな証拠が出なかった」ことを理由に、検察庁の審理再開要請を棄却した。同判事はさらに、ルーラ氏やOAS社元社長のレオ・ピニェイロ氏、オデブレヒト社のエミリオ・オデブレヒト元社長をはじめとした3人の幹部がいずれも70歳を超えていることで、時効が適用されるとした。

 LJ作戦でのルーラ氏の裁判は、今年4月に最高裁が、1審のパラナ州連邦判事だったセルジオ・モロ氏には「ルーラ氏の裁判で偏りがあった」との判断を下したことで、ラヴァ・ジャット特捜班にとって不利なものとなっていた。
 アチバイアの件を裁いたのは、モロ氏の後任だったガブリエラ・ハルト判事だが、今年の3月、パラナ州連邦検察でラヴァ・ジャット主任だったデルタン・ダラグノル氏が、19年2月に行われた1審の前にハルト判事と話し合い、ルーラ氏を有罪するとの確認をとっていたことが、盗聴記録に残っていたことが明かされていた。
 ルーラ氏は現在、22年の大統領選に関する世論調査で支持率1位となっている。また、同氏の出馬資格を停止しそうな裁判案件(出馬公示までに2審以上で有罪)は、現在のところ存在しない。