《ブラジル》生活扶助の不正打切り目立つ=世界銀行が問題点を指摘

 世界銀行がボルサ・ファミリア(生活扶助)に関して、「受給資格を失ったほとんどの人たちが、プログラムを段階的に抜けることを認めた規定に則らない打ち切られ方をしている」との見解を発表した。25日付現地紙が報じている。
 ボルサ・ファミリアはブラジルではもっとも重要な社会保障制度のひとつ。世界銀行によると、2019年3月から2020年2月の間に受給資格を失った人の中で、段階的な撤退を認めた規定に則って支給停止措置を受けたのは、全体のわずか7%に過ぎないと指摘している。
 その一方で51%が、規定以上の収入を得るようになっているのに受給していた「規約違反者」と判断され、支援を打ち切られているという。

 ボルサ・ファミリアの規約では、家族ひとりあたりの手取りが178レアルを下回る人に受給資格があるが、この額を上回る収入を得るようになっても、月収550レアル未満なら2年間は受給資格が保たれる。
 だが現状は、政府が受給者の現状を審査し、規定額以上の収入があると判断された後、2年間を待たずに打ち切るケースが目立っているという。
 世界銀行は、こうした急な支給打ち切りは貧困家庭の家計をより不安定にし、労働市場も安定しないと警鐘をならしている。
 ボルサ・ファミリアは「アウシリオ・ブラジル」と改称し、新たな条件のもとで支給される予定になっているが、その内容はいまだに煮詰まっておらず、議会での審議さえ受けられずにいる。