《ブラジル》ボルソナロが新持ち家政策発表=票田の治安部門公務員を優遇?

13日のボルソナロ大統領(Wilson Dias)

 ボルソナロ大統領は13日、治安部門の公務員向けの持ち家政策「アビテ・セグーロ」を公表し、融資などで優遇することを盛り込んだ暫定令(MP)を出した。警察官や消防士、看守、市警備隊員などを対象とした優遇策は、大統領が治安部門の支持を強めるために出されたのではと見られている。13、14日付現地紙、サイトが報じている。
 大統領によると、「アビテ・セグーロ」は治安統一システム(SUSP)に登録されている治安関係者なら誰でも対象となり、定年退職者や予備役も対象に含まれるという。
 優遇される人には、「月給7千レアル以下」「自分の持ち家をまだ持っていない」「融資の対象となる家屋は資産価格30万レアル以下」などの条件がある。ただし、条件によってはこれ以上の月給の人も対象となりうるし、新築、中古、建設中の別を問わない。同プログラム利用者は、他の持ち家政策の恩恵も受けられる。
 連邦貯蓄銀行(CAIXA)はこのプログラムのために50億レアルを投入する意向で、必要ならば資金を増額するという。融資の責任者は法務省で、同行が扱う物件購入の場合は、購入額の100%までの資金調達が可能で、最初の支払いを減額したり免除したりする特典もある。頭金の補助は1万3千レアル、契約時の手数料への補助は2100レアルが上限となる。

 返済期限は35年で、返済金利は年3・35%+ポウパンサの金利など、通常の融資よりずっと優遇される。
 CAIXAによると、実施1年目の融資総額は1億レアルを目安としているという。この金額は、国家治安基金(FNSP)から拠出されるが、来年以降は議員割り当て金も使用される可能性がある。
 アビテ・セグーロの詳細は13日付連邦政府官報で発表された。暫定令は官報に掲載された日から有効となるが、120日以内に連邦議会の承認を受けなければならない。
 ボルソナロ氏はかねてから、軍人や警察などの治安関係者の社会保障や給与などに関して有利な計らいをしている。今回は、労働者党(PT)政権時代からの一般向けの持ち家政策の「ミーニャ・カーザ、ミーニャ・ヴィーダ」に代わる新政策「カーザ・・ヴェルデ・エ・アマレロ」が具体的に進捗を見ない中での暫定令発行で、一部の層の人のみを優遇することとなった。
 治安部門は、9月7日の独立記念日に反最高裁のデモが行われた際、ボルソナロ大統領を最も支持した層としても知られている。