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大統領の「三権は一つの体」発言は本当?

これまでとは違い、笑みまで浮かべて語る14日の大統領(14日付メトロポレ・サイトの記事の一部)

これまでとは違い、笑みまで浮かべて語る14日の大統領(14日付メトロポレ・サイトの記事の一部)

 最高裁や判事への批判を繰り返し、全国の支持者に7日の反民主主義デモへの参加も呼びかけていたボルソナロ大統領が14日夜、行政と司法、「我々の最高裁」は「一つの体」で、三権が互いに理解し合う事は「国民の喜び」と語った。
 7日にはアレッシャンドレ・デ・モラエス最高裁判事を「悪党」と罵倒し、「奴の命令には従わない」と断言。更に、下院で否決されたらそれ以上言わないと約束したはずの「現行の投票方式では不正が起こる」との主張を繰り返し、ルイス・ロベルト・バローゾ選挙高裁長官の批判も行っただけに、「三権は一つの体」の言葉に耳を疑った人もいただろう。
 7日の発言がその前から続いていた三権内の不調和に輪をかけた事とトラックデモは、8日の株式指数下落やドル高を招いた。これに慌てた大統領は9日、モラエス判事に謝罪し、「三権を脅かす気などなかった」「国民の人生や経済をも脅かす形で攻撃する権利は誰にもない」との声明を出した。市場は若干回復したが、トラック運転手達は態度豹変を見て、大統領への信頼感を失った。
 だが、国内外の動きと大統領の言葉の信憑性に疑問を抱く人がいる事などで、10日の株式指数は再下落。一連の事柄は、政界や三権の不調和が財界や産業界の信頼感も揺るがす事を示す。
 そういう意味で、大統領がその場の顔ぶれに合わせるのではなく、本心から先のように語ったならば大歓迎だ。
 だが、反最高裁・反連邦議会デモは昨年から続いている事などを考えると、大統領が語る「誰だって言葉の使い方を誤る事はある。それが高くつく事もあるが、自由はないよりあった方がいいだろう?」「我々はより理解し合えるようになっている」といった言葉が空しく聞こえるのはコラム子だけか。
 14日夜は国際人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチも、大統領が選挙実施を脅かす発言や最高裁批判を繰り返し、反民主主義デモを扇動した事、自分を批判する人達の言論の自由を侵害している事などを挙げ、「民主主義の柱を脅かしている」と批判。同団体が同日の大統領発言を聞いていたかは不明だが、行動を伴わないうわべだけの言葉なら、信頼を得る事はありえない。 (み)

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