《ブラジル》少女の死はワクチン副反応と無関係=それでも勧告解除しない保健省=ファイザーは子供での効用発表

青少年向けで唯一承認されており、子供への効用も確認と発表されたファイザー社製ワクチン(Divulgacao)

 【既報関連】新型コロナの予防接種による副反応の報告は、接種をためらわせたり、拒否したりする理由の一つに上げられており、保健省も16日、サンパウロ州で接種後に死亡した少女がいる事を12~17歳の青少年への予防接種中止勧告を出した理由の一つと説明した。だが、サンパウロ州疫学監視センターが少女の死とワクチン接種との関係を否定する報告書を作成、国家衛生監督庁(Anvisa)も承認と20日付現地サイトが報じた。
 予防接種後の副反応は程度の差はあれ、大半のワクチンで起こるが、新型コロナの場合は新製法ワクチンもあり、既存ワクチン以上に敏感になっている人が多い。
 今回問題となり、青少年への接種中止勧告にもつながったとされているのは、サンパウロ大都市圏在住で16歳の少女が初回接種から8日後の2日に亡くなった例だ。
 だが、サンパウロ州疫学監視センターが作成し、19日に提出した報告書によると、少女は血栓性血小板減少性紫斑病(TTP、ポ語ではPTT)と呼ばれる自己免疫疾患と診断され、接種とは無関係と判断されている。TTPは全身の微小血管に血小板血栓が形成されて起こる疾患で、溶血性尿毒症症候群(HUS)と共に血栓性微小血管症(TMA)に分類される。サンパウロ州保健局は17日も接種との関係を否定し、青少年への接種を続けた。

 報告書を精査したAnvisaは20日、少女の死と接種とは無関係と結論づけた。これによって、16~17日に出した「ファイザー社製ワクチンの青少年への使用差し止めの事由はない」との判断が再確認された。
 20日朝現在も保健省の勧告通りに接種を中止していたのは3州都のみで、現場からはなぜ勧告を解除しないのかとの疑問も生じているが、ケイロガ保健相は20日も勧告解除を否定した。
 他方、ファイザー社は20日、5~11歳の子供にも同社製ワクチンが有効である事を確認と発表。子供に使ったワクチンは成人の3分の1で、抗体形成や感染予防効果を確認したという。
 米国やブラジルでの同年齢層への接種許可申請提出はまだだが、承認されれば子供を持つ親や教育現場には朗報となる。ブラジルではブタンタン研究所が3歳以上へのコロナバックの使用許可申請を提出した事があるが、この時はデータが不十分として承認が見送られた。
 今回の中止勧告騒動直後、感染症専門医は、コロナバックが正式登録され、年少者への使用が許可されれば、ファイザー社製ワクチンのみに頼る状態が改善されるとの見解を表明していたが、複数ワクチンの使用実現には時間がかかりそうだ。