《ブラジル》ボルソナロ「農業に有利な最高裁に」=再選時の2判事指名に触れて

6日の会合の様子(Isac Nóbrega/PR)

 ボルソナロ大統領が6日、農業関係者に対し、「私が来年再選すれば、2023年に最高裁は農業に有利なものになる」と語っていたことがわかった。7日付現地紙が報じている。
 これは6日午前、ボルソナロ大統領がテレーザ・クリスチーナ農相と共に参加した、プラナウト宮での農牧族議員との会合の際に行われた発言だ。
 大統領は、農業団体が強く求める「1988年憲法の制定時に先住民が住んでいたことが証明できる場所だけを先住民居住区と認める」という法令制定を擁護した際、「来年の大統領選で私が当選すれば、2023年には現政権の方針に同意する判事が2人増えるから、最低でも4人の判事が農業に有利な判断を下すようになる」と語った。
 これは、2023年にリカルド・レヴァンドウスキー判事とローザ・ウェベル判事が定年を迎えることで新たな判事が指名されることを指している。その判事指名をボルソナロ氏自身が行えば、これまでに指名している2判事と新たに指名する2判事の計4人が農業関係に有利な票を投じることになる、というのだ。

 大統領は既にカシオ・マルケス判事を指名して承認されているが、2人目の指名となったアンドレ・メンドンサ氏は、7月に指名を行ったにもかかわらず、上院のダヴィ・アルコルンブレ憲政委員会委員長が口頭試問(サバチーナ)の日程さえ決めないという異例の状態が続いている。この背景には、メンドンサ氏の指名が上議たちにかなりの不評で承認が疑問視されていることがある。
 メンドンサ氏の指名も、大統領が福音派の関係者に対し、「とびきりの福音派の最高裁判事を誕生させる」と約束した末に行ったものだ。
 この前日の5日、大統領はブラジリアで福音派の代表達と会合を行っている。福音派の代表たちは、この会合でメンドンサ氏の最高裁判事承認へ圧力をかけることを目的として集まった。
 ボルソナロ氏が来年の選挙で再選した場合、23年には2判事の交代があるが、26年までの任期中に75歳の定年を迎えるのはその2判事のみで、その任期中に自身が選んだ判事が最高裁での過半数(6人)を超えることはない。