《ブラジル》下院も全面的に対面審議に=入場時の接種証明提示義務化=活動正常化に向け接種も加速

リラ下院議長(Najara Araujo/Camara dos Deputados)

 アルトゥール・リラ下院議長が19日、25日以降の下院での活動は全て連邦議会で行い、議員や職員には接種証明提示を義務付ける意向を表明したと19、20日付現地紙、サイトが報じた。
 これにより25日からは、下院での本会議や委員会は全て対面審議となる。下院議長は、25日以降も新型コロナの感染拡大防止に必要な防疫対策を継続する事も明言。
 その一つに接種証明の提示を挙げている。接種証明の提示義務を導入した市や州はあるが、下院議長が接種証明提示を議会入場時の条件に加えた事は注目に値する。
 それは、ボルソナロ大統領が新型コロナのワクチン接種義務化に反対し、自分は接種を受けないと宣言した上、各自治体が導入した接種証明の提示義務への批判を繰り返しているからだ。
 州や市の接種証明提示義務は、全ての場所やイベントでとか、一定の規模以上のイベントのみなど、自治体毎に多少の差がある。また、接種証明の提示と並行して、公務員には全員、ワクチン接種を義務付けるなどの措置も採られている。
 このため、国内メディアは19日、ボルソナロ大統領など、議員や職員以外の人物が議会を訪れる時も接種証明の提示を義務付けるのかと質問したが、同日は下院議長からの返答はなかった。

 新型コロナのワクチン接種促進は、保健衛生の専門家や経済界の重鎮などからもコロナ禍を抑制して経済活動などを再開するための鍵とみられている。
 また、コロナバックで集団接種を行ったサンパウロ州セラーナではボランティアの99%に抗体ができていた。12~17歳への接種効果は93%など、肯定的な結果報告が出ている。
 20日にはリオ州も25日から州立校の授業を100%対面式とすると発表するなど、一部の防疫対策を維持しながら、コロナ前の状態に戻す動きが加速している。
 サンパウロ州やサンパウロ市ではワクチン接種の加速化のため、ファイザー社製ワクチンの接種間隔を3週間に縮める事を決めた。接種間隔短縮化は18歳以上が対象で、サンパウロ州では19日から、サンパウロ市では21日から適用される。
 新型コロナ感染症は多くの感染者や死者を生んだ上、感染拡大を抑制するための外出規制やそれに伴う経済活動の縮小、雇用や教育の形態の変化なども招いた。
 コロナ禍の長期化で自宅勤務や遠隔授業を強いられてきた人の中には、感染を恐れて外に出られない人や他者との共生が困難になった人もおり、接種促進や様々な活動再開と共に、精神面のケアに配慮する事も求められている。