《ブラジル》第64回プレミオ・パウリスタ=日系社会で最も伝統ある賞、53氏に栄誉=下地幹郎氏や現役プロ野球選手に

第62回プレミオ・パウリスタの様子

第62回プレミオ・パウリスタの様子

 「第64回プレミオ・パウリスタ」授賞式が10月30日(土)午前10時から、ブラジル日本文化福祉協会ビルの大講堂で行われる。昨年はコロナ禍で開催されなかった。今年は過去最多53氏の受賞が決定。さらに今回からこれまでの「スポーツ賞」だけでなく、「日系栄誉賞」「文化賞」「社会功労賞」が新設され、政治・農業・軍人・日本舞踊など多方面から受賞者が選出された。詳細は本日、特集面を参照。

 日本からは政治家の下地幹郎氏(みきお、60歳、沖縄県)が社会功労賞を受賞。下地氏は沖縄出身、衆議院議員として日系ブラジル人四世ビザ制度創設に大きく貢献した。その後もビザ制度の資格要件が厳重で訪日できない四世が多いことを問題視し、要件緩和に向けて日々活動している。
 その他、在日日系ブラジル人の中で最高のビジネス成功者と言われる長葱「葱王」農業経営者の斎藤ワルテル氏(53歳、二世)も受賞。
 対するブラジル側でも日系社会やブラジルスポーツ会の名だたる人物らが受賞している。
 「永遠のデプタード」と呼ばれ、長年に亘り「パウリスタ・スポーツ賞」を支えてきた故下本八郎氏(行年85歳、二世)や、日系二世でブラジル陸軍予備役大佐の京野吉男氏(86歳、二世)、全伯規模で農機具を販売する総合農業機器会社CMMブラジルの中桐廣文社長、直木賞候補に選出された経歴を持つ作家の醍醐麻沙夫氏(86歳、神奈川県)など日系社会の功労者が受賞している。
 若手でも読売ジャイアンツの一軍で活躍するチアゴ・ヴィエリ・ルシオ(28歳、ブラジル人)や、東京五輪卓球部門のブラジル代表として出場したヤマダ・ジェシカ(31歳)氏なども受賞するなど老若男女問わず各界から選出された。
 『プレミオ・パウリスタ』は1956年に旧パウリスタ新聞創刊10周年の記念事業として設けられた。同年『パウリスタ文学賞』『パウリスタ農民賞』も併設、授賞された。だが農民賞はすぐに廃止され、文学賞はその後長く続いたが、コロニア高齢化とともに消滅した。
 同賞新設当時は、スポーツ振興によって勝ち負け抗争で荒れた日系社会の融和を図る目的があった。現在、猛威を振るっている新型コロナ禍の中でいち早く復帰したのがスポーツ界であったように、プレミオ・パウリスタは息長く生き残り、種目も増えて発展している。
 ニッケイ新聞社(高木ラウル社主、蛯原忠男実行委員長)主催、野村アウレリオ・サンパウロ市議会議員が後援。
 当日は、コロナ感染防止対策の条例に乗っ取って『マスク着用』『社会的距離の保持』、会場入り口での『体温測定』が厳守される予定だ。