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《ブラジル》パンタナル=水を求めて群れをなすワニ=少雨・干ばつや森林火災反映

僅かな水を求め、群れをなすワニ達(Marcelo Tchebes)

 リオ州の写真家マルセロ・チェベス氏がマット・グロッソ州内のパンタナルで撮った、少雨・干ばつや森林火災で苦しむ野生動物達の写真が注目を集めている。
 その一例は水を求めて集まったワニの群れだ。僅かな水を求めて折り重なるように集まるワニの姿は、91年ぶりといわれる少雨・干ばつや森林火災で苦しむパンタナルを象徴した姿といえる。 水危機や電力危機が盛んにいわれ始めたのは6月からだが、ワニその他の野生動物が干ばつや森林火災で生活や命を脅かされている事を示す写真もここ数カ月間で撮られたものだという。
 マルセロ氏は何年もパンタナルに通い、自然や野生動物の姿を撮り続けている。同氏によると、パンタナルへの旅は彼の生涯の分水嶺で、自然や動物との触れ合いによる感動と、動植物やそれにまつわる出来事を見て感じる心配がいつも入り混じるのだという。
 マルセロ氏によると、パンタナルの自然や野生動物と出会い、その写真を撮る瞬間は「魔法の一時」だという。彼にとり、母ヒョウが授乳する様子やカワウソの家族が天使としか言えない表情を浮かべて丸太の上で休む様子、水鳥の夫婦が巣の中の雛を守ろうとする様子、ワニや鹿、その他の動物の生き様などをレンズを通して記録し、伝える事ができるのはかけがえのない特権なのだ。
 他方、パンタナルに足を踏み入れると目に飛び込む全てが焼き尽くされた平原や、120カ所を回っても3~4カ所しか水がなく、ワニが文字通り一緒に群がっている、通常とはまるで異なる光景にショックを受けたとも語っている。

ひび割れた高速道脇の土地とワニの死体(Daniel De Granville Manço/TNC Photo Contest 2021)

 同氏によると、宿泊所で出会ったボランティア達も、最も干ばつが厳しい地域の湖にタンク車で運んできた水を入れて動物達を助けている事や、これ以上生き延びる術はない地域に残っていたワニ達を他の地域に移してやった事などを話してくれたという。
 マルセロ氏は、パンタナルでの干ばつは犯罪的な森林火災でより深刻化しているとも語る。ポルト・ジョフレ地方で泊まった時は、エンコントロ・サス・アグアス公園内で起きた火災による熱気を伴う煙で生じたもやに、朝から囲まれたとも証言している。
 干ばつと森林火災でより深刻な状態となった時期は、住み慣れない場所に移されたワニ達が折り重なるように身を寄せて生活しているが、固体が多すぎて死んでしまう事もあると語るのは、爬虫類学者のクリスチネ・ストゥルスマン氏だ。
 環境監視機関の調査員達によると、パンタナルでは昨年だけで、水生動物900万匹など、1700万匹(頭)の脊椎動物が死んでいる。パンタナルは昨年、総面積の26%に及ぶ400万ヘクタールを焼失。マット・グロッソ州では220万ヘクタール、マット・グロッソ・ド・スル州でも170万ヘクタールが灰と化し、460万(頭)の動物がその影響を受けた上、最低でも1千万匹(頭)が死んだという。
 2018年のパンタナルの水表面積は1988年より29%少なく、このままなら70年間で干上がると見られている。