《サンパウロ州》カンピーナス市=市議会の聴衆が人種差別発言=対象の女性市議が被害届提出

カンピーナスの市議が人種差別的な侮辱発言を受けたと報じる9日付G1サイトの記事の一部

 サンパウロ州内陸部のカンピーナス市で8日夜、聴衆が入った市議会で黒人の女性市議に対する人種差別発言が起きて審議が中断し、同市議が被害届を出す事態が生じたと9日付現地サイトが報じた。
 人種差別的な侮辱発言を浴びたのは、人種差別と黒人コミュニティの価値化基金について語っていたパオラ・ミゲル市議(労働者党・PT)だ。発言を聞いた同僚市議達が本人にもビデオを見せたところ、「黒人女性のくず(preta lixo)」という叫び声がはっきりと聞き取れた。
 叫び声は傍聴席から発せられ、本人はそれに気付いていなかった。だが、聴衆の叫び声が激しくなり、ミゲル市議の集中力が途切れたのを見たゼー・カルロス議長(社会党・PSB)が審議を停止、審議の様子を録画していたビデオを確認するように求めた。

 ミゲル市議やその同僚達は、人種差別発言には断固として反対する姿勢を見せ、即座に調査を開始し、議会警察も動員されたが、会場にいた人々はマスクを着用していたため、その場での映像だけで発話者を突き止める事はできなかった。
 同市議は9日朝、市警に被害届を出し、捜査を依頼。複数カ所に設置され、審議の様子を録画していたビデオや防犯カメラの映像、現場にいた人達が携帯電話で撮影した聴衆の写真も提出した。
 同市議は、「ビデオからは叫び声がはっきりと聞き取れた。このような出来事を捨て置いてはならない。発言者を突き止める必要がある。人種差別は表現の自由ではなく、犯罪である事を全ての人に知らしめなければならない」としている。
 カルロス議長も、「市議3人が人種差別発言を知らせてきた。犯罪者は責任を取る必要がある」と語っている。