ホーム | ブラジル国内ニュース | 《ブラジル》ドイツ市民権希望者が3倍に=コロナ禍で急増、生活の質を求めて

《ブラジル》ドイツ市民権希望者が3倍に=コロナ禍で急増、生活の質を求めて

ドイツのパスポート(Bundesrepublik Deutschland, Bundesministerium des Innern, Public domain, via Wikimedia Commons)

 ブラジル弁護士会サンパウロ州支部(OAB―SP)国際関係委員会によると、ドイツの市民権(二重国籍)を探し求める人は2020年3月~2021年3月に200%増えたという。
 新型コロナのパンデミックで生活基盤が揺るぎ、生活の質向上などを求める人が急増したためで、ドイツとの二重国籍を取得し、世界で2番目に強いとされる同国の旅券を入手しようと考える人が増えているのだ。
 この動きは、同国が法律を改定し、二重国籍を取得しやすくなった事を反映している。欧州諸国の市民権取得のためのコンサルティング会社「エウロ・シダダニアス」の弁護士兼最高経営責任者のカシア・シャフェル氏は、「法律改定はごく最近なので、ドイツ国籍を取得できる人の割合は計算できない」が「新たに生じた可能性により、問い合わせが増えている」と説明している。
 ドイツの市民権取得希望者の増加は、サンパウロ市にあるドイツ総領事館でも認めており、法改定による基準変更について説明し、疑問解明や書類提出のために総領事館と連絡をとる方法を明らかにするための懇談会も開催した。副領事のソフィエ・ヴァレンテ氏は、需要が高まり、対応に要する時間が伸びていると語っている。
 ドイツの市民権を確認するプロセスは複雑で、ドイツ人女性の子孫の場合は申請がより難しいなどの問題があったが、2021年8月20日に施行された新国籍法では、三つのグループに属する人達のプロセスが簡素化された。

(1)ドイツ人女性の子孫の場合
◎1949年5月23日~1975年1月1日に生まれた。
◎誕生時に母親がドイツ市民権を持っていた。
◎誕生時に父親はドイツ市民権を持っていなかった。
◎誕生前に父母が結婚していた。
(2)ドイツ人男性の子孫の場合
◎1949年5月23日~1993年7月1日に生まれた。
◎誕生時に母親はドイツ市民権を持っていなかった。
◎誕生時に父親がドイツ市民権を持っていた。
◎両親の婚姻は1998年7月1日以降。
◎23歳になる前に父親からの認証を受けていた。
(3)迫害を受けて帰化する場合
◎1933~1945年に政治的、人種的、宗教的な迫害を受けた。
◎迫害または取得権排除によるドイツ国籍の喪失。
◎迫害後の是正帰化の可能性。
 1と2の場合は、2031年8月19日までに市民権取得を希望する事を表明する必要がある。ドイツの旅券は現在、韓国と共に、世界で2番目に強力なパスポートとされている。ドイツ旅券より強いのは日本とシンガポールの旅券のみだ。
 旅券のランキングは、英国のコンサルタント会社が四半期毎に、特定国の旅券所有者が事前にビザを取らなくてもアクセスできる目的地の数を分析して決められている。
 なお、エウロ・シダダニアスは、2009年に開業したコンサルタント会社で、ドイツやポルトガル、スペイン、ポーランドといった国の市民権取得のためのコンサルティング業務を担当している。

★2008年5月24日《ブラジル》県連ふるさと巡り=リベイラ沿岸とサンタカタリーナの旅=第9回(終)=トレーゼ・チーリャス=〝ブラジルのチロル〟満喫=「移民としての共通点感じる」
★2011年10月6日《ブラジル》イタリア系子孫の本国就労描く=映画監督を招聘し鑑賞会=デカセギと同じ軌跡辿る=130周年記念行事の一環
★2005年6月10日《ブラジル》2重国籍の取得方法=各国のお国事情を反映

image_print