《ブラジル》9年経てようやくKISS裁判開始=ライブハウス火災で死傷者878人の惨劇

事件後、火事現場の前には花束やメッセージカードが山のように積まれた(Leandro LV, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons)

 2013年に242人もの死者を出したリオ・グランデ・ド・スル州のライブハウス「KISS」での火災事件に関する裁判が1日から同州の地裁ではじまった。1日付現地サイトが報じている。
 この事故は2013年1月27日、リオ・グランデ・ド・スル州サンタマリアにあるKISSで、セルタネージャのバンド、バンダ・グリザーダ・ファンダンゲイラが演奏中、発炎筒のように炎が高く上がる花火を使う演出を行ったところ、有毒ガスを発する素材を使った天井に引火して起きた。
 入場者が多すぎたのに加え、煙が短時間で広がる中、避難経路を示す誘導灯が機能しておらず、たった一つの出口に殺到して折り重なって脱出できない人が煙に巻かれた結果、242人が死亡、636人が負傷する大惨事となった。

 死者の多くは退路を断たれて折り重なるように倒れており、一酸化炭素中毒で亡くなっている。サンタマリアは学生街として知られており、犠牲者の大半も大学生だった。
 将来を約束されていた若者たちが亡くなり、後遺症に悩まされる人たちも多数出たこととや現場の悲惨さは、多くの人たちの涙を誘った。
 その後もこの事件に関する裁判はなかなかはじまらなかったが、発生から8年11カ月を経て、ようやく陪審裁判がはじまった。
 今回の裁判ではKISSのソーシオ(共同経営者)2人(エリサンドロ・カレガロ・スポール、マウロ・ロンデロ・ホフマンの両被告)、バンダ・グリザーダのヴォーカリストのマルセロ・デ・ジェズス・ドス・サントス被告、音楽プロデューサーのルシアーノ・ボニーリャ・レオン被告の4人が裁かれることとなる。

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