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草木から学ぶ、視点や立ち位置を変える必要性

越冬後に実を結ぶゴーヤ

越冬後に実を結ぶゴーヤ

 朝一番に日の光を浴びると体内時計が整うと聞いた事もあり、朝起きると、新聞を取りに行きがてら、車庫の屋根に張った紐に沿って育つゴーヤを観察する癖がついた。
 例年は多少の花や実が残っていても根元から抜いてしまい、新芽が出てくるのを待っていた。今年は越冬させてみたところ、ずっと実を結んでいただけでなく、春先からは花や実も増え始めた。
 土曜日の朝、寒さや加齢(?)で枯れた葉や茎を、はしごに登って取り除く。視点が変わると、重なった葉の後ろに隠れ、下からは見えない実や茎の上に横たわったまま育っている実が見つかる。
 枯れた葉や茎を取り除き、明るくなった場所で見ると見つかる実や、少しずつ動いて眺める内に目に飛び込んでくる実もある。アリがいる茎の先にある樹液を吸った跡らしき黒い膨らみや、ミツバチよりずっと小さなハチが飛び交うのを見て共生について考える事もある。
 車庫の屋根の下というごく小さな空間で繰り広げられる自然界の営みだが、様々な気づきや示唆に満ちている。
 枯れて堅くなり、新しい命を育めなくなった茎は取り除くしかない事。古い物が取り除かれた後の明るさと風通しの良さ、視点や立ち位置を変えないと見えない実がある事。時が来たと知り、子孫を残すために種を落とす様子や、新たな力を得て伸び始める芽や実、それが屋根の割れ目を見つけて外に伸びていく活力。結実はハチとの共同作業である事等々、数え上げればきりがない。
 時には自分が、まだ実を結べているか、堅くて脆い茎になっていないか、他者の成長を阻む存在になっていないか、などと内省する時もある。そんな時は自戒しつつ、前を向く。屋根の上や紐がない場所に伸びる茎の向きを変えさせる時は、誤った視点や考えは修正が必要だとも考える。
 だが、古い者が新しい者に座を譲り、更なる成長を促すべき時が来る事は確かだし、同じ視点、同じ立ち位置が正しいとは限らないと知る事や、風通しの良さなどは仕事の上でも大切だ。
 新しいぶどう酒は発酵力が強く、新しい皮袋に入れないと、入れ物が裂けて全てがだめになる。
 ニッケイ新聞は今年で歴史の幕を閉じ、来年からは新たな組織、新たな名前での新聞発行が始まる。新しい陣容、新しい名前での出発が、日系社会に新たな風や命を吹き込む事を願ってやまない。(み)