《ブラジル》接種証明の提示義務11日から=入国規制で連邦政府が譲歩=3空港に接種用ポスト設置

11日から新たな入国規制を適用と報じる9日付アジェンシア・ブラジルの記事の一部

 【既報関連】連邦政府が9日付官報に、11日以降、空路での入国者への接種証明提示を義務付け、非接種者には5日間の隔離とPCR検査を課すとの省庁令を掲載。前日までの専門家や知事達からの批判や懸念が収まったと8~9日付現地紙、サイトが報じた。
 連邦政府は7日まで入国者への接種証明提示義務に否定的な態度を示していた上、8日になっても非接種者への隔離やPCR義務化に関する詳細が発表されなかった。
 このため、バラ・トレス国家衛生監督庁(Anvisa)理事長や、連邦直轄区のイバネイス・ロッシャ知事、サンパウロ州のジョアン・ドリア知事などからの不満や批判が相次いでいた。
 多くの専門家が入国者への接種証明義務化を推奨し、多数の国も採用しているため、ドリア氏は8日、15日までに接種証明の提示義務化を明確にするように保健省に要請。さもなくば、16日から州内3空港やサントス港での接種証明提示を義務化するとしていた。
 同氏の意向は昨年4月に最高裁が出した知事や市長にも防疫対策のための決定権があるとした判例に基づくもので、8日付官報への省庁令掲載がなければ、国際便の3分の2が発着するクンビッカとヴィラコッポス、コンゴーニャスの3空港で接種証明提示を義務付ける予定だった。

空港での接種の様子(Fotos: Ascom/SMS)

 他方、Anvisaは8日、港湾や船舶内の管理者と就労者に接種完了や手洗いを含む消毒徹底などを求めると共に、入国者や乗船者に接種証明と72時間以内のPCRでの陰性証明の提示を義務付ける方針を決めた。
 ワクチン接種や接種証明提示を義務化する動きが高まる中、フランスやリオ市のように義務化への抗議運動が起きているところもある。これが、ケイロガ保健相が7日に「防疫対策はコンセンサスより不和をもたらす接種証明だけではない」と語った理由で、非接種者への5日間の隔離やPCR義務化は、接種を受けられない人や受けたくない人の受け皿だ。
 保健省は、連邦直轄区とグアルーリョス、ガレオンの3空港に13日からワクチン接種用のポスト開設とも発表した。
 ウイルスや変異株の流入防止は国や施設の人を守るための必須条件で、万全の配慮や対策が必要な事は、サンパウロ州内陸部ジャレス市の老人ホームでの集団感染などでも明らかだ。ジャレス市での集団感染は介護者の1人の発症が引き金で、同日中に収容者への補強接種が行われたが、62人の収容者中3人が死亡。今も4人が集中治療室におり、無症状者が42人いる。
 介護者は7人が感染後に回復したが、1人はまだ隔離されている。どの株による感染かはまだ報じられていない。

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