《リオ州》警官による殺害の86%は黒人=報復・粛清や流れ弾の被害など

カトレンさん(Twitter)

 リオ州で行われる警察の捜査や摘発などで亡くなった人のうち、86%は黒人であることがわかった。14日付現地サイトが報じている。
 これは、「レデ・デ・オブゼルヴァトーリオス・ダ・セグランサ」が行った調査によって判明したものだ。それによると、リオ州では2020年に、警察の捜査で亡くなった人が1245人いたが、そのうちの86%は黒人であったという。
 リオ州全体の黒人の人口は51・7%だが、それを大きく上回る結果となった。
 また、このうちの415人がリオ市で亡くなっているが、同市に限定した場合、415人の死者に占める黒人の割合が90%にまで上がるという。
 今年7月にリオ市北部のリンス貧民街群 (Complexo do Lins)で流れ弾にあたって亡くなった妊娠中のモデル、カトレン・ロメウさん(24)の死因が、軍警の放った銃弾によるものだったことが13日に明らかになった。それを受け、軍警の責任を問う声が再び高まっていた最中に、この調査結果は出された。
 同調査を担当したパブロ・ヌーネス氏は、「今年起こったサルゲイロやジャカレジーニョの例もある」として、黒人虐殺の例をあげている。前者では特に、性器や手足が切り取られ、目がえぐり出された遺体も見つかるなど、軍警による度が過ぎた粛清行為が国際的な人権問題にまで発展している。

 ヌーネス氏はさらに、「大量粛清は氷山の一角に過ぎず、カトレンさんのような例もたくさんある」と語っている。
 14日に発表されたのはリオ州のデータだけではなく、バイア州、セアラー州、ピアウイ州、ペルナンブッコ州、マラニョン州でも同様の分析を行っているが、ヌーネス氏は、「いずれの州でも黒人の犠牲者が多い」とし、これはリオ州だけでなく、全国的な傾向であるとして、警鐘を鳴らしている。
 ヌーネス氏はまた、「これは軍警だけの問題でなく、検察の問題でもある」と主張。「軍警の行き過ぎた捜査に対する監視が甘く、野放しにしていることも、こうした事態につながっている」としている。
 なお、14日には、サンパウロ総合大学(USP)の研究者たちが、白人はよく整備された地域のビルに住み、黒人は郊外の平屋に住むという表現で、住環境などに人種格差があるとの研究結果を発表。リオ州などでの警官による死者は黒人が多いというデータも、犯罪が多発する郊外は黒人の比率が高いことと関係がありそうだ。