《ブラジル》連邦警察が10年前の件でシロ候補捜査=大統領選10カ月前、唐突に

シロ氏(Jose Cruz/Agencia Brasil)

 連邦警察は15日、セアラー州フォルタレーザで大統領候補のシロ・ゴメス氏と弟のシジ氏(共に民主労働党・PDT)に対して家宅捜査を行った。シロ氏は大統領選の支持率調査でも3番手争いをしているだけに波紋が広がっている。16日付伯字紙が報じている。
 この日の捜査では14もの捜査令状が出された。これは、14年サッカーW杯に向けてフォルタレーザに建設されたカステロン・スタジアムに伴う贈収賄工作の容疑によるものだ。これには4つほどの褒章付証言(デラソン・プレミアーダ)があり、贈収賄は2010年から13年に行われたとみられている。
 シロ氏は2010年に下議の任期が切れて以降は公職についていない。だが、この時点ですでに2度大統領選で3位になるなど知名度があり、シジ氏は2007〜14年にセアラー州知事だった。
 だが、大統領選を10カ月後に控えたこの時期に、10年近く前のことで突然捜査が行われたことに対して不審の声も上がっている。ルーラ元大統領も「必然性のない捜査」と批判し、シロ氏に連帯の意を示した。

 シロ氏はこの捜査を受けた後、「これは間違いなくボルソナロ氏の命令によるものだ」と、大統領陰謀説を語った。さらに、「デラソンも口を聞いたことのない人物が行ったものだ」と、司法取引証言をしたガルヴォン・エンジェニェイロ社の関係者を批判。さらに「弁護士から聞いて今知ったが、カステロン・スタジアムは2002年開催のW杯以来、最安値での落札だったそうだ。調べてみるがよい」とも言い切った。 
 この捜査後、PDT下議の一部で、シロ氏の大統領選出馬を取り消し、政党費用を下議選に回すべきだとの意見が浮上しているという。同党下議の一部はプレカトリオの憲法改正法案にシロ氏の意向に反して賛成票を投じるなど、対立もしていた。
 しかし、PDTのカルロス・ルピ党主は「この一件でますますシロの出馬が固まった」と、意志が揺らいでいないことを強調している。