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診察現場で長年混乱=めまい薬で〃偽〃パーキンソン=「服用薬を医師に告げて」

健康広場

2006年5月31日(水)

 お年寄りの手が震え、筋肉が硬くなり、動作が鈍くなったら、直ちにパーキンソンを連想してしまうだろう。必ずしも、そうと言い切れないことがある。めまいを抑える薬(フルナリジーナ)を常用すると、パーキンソンに似た症状が表れることがあるからだ。二十年以上も昔から、専門家が警告してきた。診察現場での認識が完全に徹底されていない。誤診を引き起こす恐れがあると、フォーリャ紙(二十一日付)が警告している。
 〃偽〃パーキンソンも、症状が完全に一致しているので、パーキンソン症候群と呼ばれている。パーキンソンは診察を混乱させうるものだとブラジル人が過剰反応。専門家の懸念材料になっている。
 老人科医のマイラ・ドニダンデル・バルボーザさんが国内で初めて、同病の疫学調査を実施。バンブイー(MG)に居住する、六十四歳以上の高齢者千百八十六人の健康状態を査定した。
 七・二%(八十六人)がパーキンソンだと答え、手の震え、筋肉の硬直といった症状を訴えた。実際にパーキンソン病患と断定されたのは三・三%。二・七%はめまい薬を常用していることが分かった。
 マリア医師は「二・七%という数は懸念すべき数字です。というのは、医薬品の副作用によってもたらされるパーキンソンは、国際的にみて一%に満たないからです」と目を丸くする。
 同医によれば、誤診を避けるにはパーキンソンの症状を持つ患者が医師に服用薬をきちんと告げることが重要。「患者さんが、徐々に悪化し、治療方法のない神経病にかかっていると思い込む危険がある。それはかなりの負担だ」。
 医薬品の副作用に起因するパーキンソンは八四年に、神経学者セバスチャン・エウリコ・メロ・ソウザ氏(ゴイアニア神経学研究所)によって発見された。「今でも、誤診が継続して起きている」と同氏。
 エグベルト・レイス・バルボーザ氏(クリニカス病院神経科医)は「正確な診断を下すためには、追跡調査が必要。二十二年前に既に警告されている。問題はまだ、解決されないままだ」と見解を示す。
 フランシスコ・カルドーゾ氏(ミナス・ジェライス連邦大学神経学者)も賛同。「中流階級で、薬の副作用の影響が認識されていない。意識が定着しないと、問題は続くばかりです」と懸念する。
 ジョアン・ファウスティーノ・マルティンスさん(78)はめまいがするため、医師の診断を受け、フルナリジーナという内服薬を処方してもらった。十年後に、手が震え始め、うつ病状態に。「ご飯をフォークですくうと、こぼれ落ちた」。
 最初にかかった医師は、パーキンソンと判断した。神経科医が服用薬を質問。パーキンソンでないことが分かった。「信じられなかった。めまい薬をやめ、別の薬を飲み始めたらすぐにパーキンソンの症状がとまった」と胸をなでおろしている。

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