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2003年

日本文化を踊ろう!=―ブラジルに生きる郷土芸能―=第5回=どじょう掬い島根県人会=銭太鼓に青年奮起=練習はマイペースのブラジル流

8月21日(木)  ミランドーポリス区ローザス街八六、ブラジル島根県人会で毎週金曜日午後十時すぎ、「アラエッサッサー」の掛け声とともに、ジャンジャンと小銭を撒き散らしたような音が響く。空き巣泥棒が重い金庫を持ち上げようとしてしくじったか?と思われそうだが、実は、同会青年部が練習している銭太鼓が犯人。同県人会では、若者らが安来節に ...

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日本文化を踊ろう!=―ブラジルに生きる郷土芸能―=第4回=広島県人会=神楽舞への情熱衰えず=高齢化も女性の活躍目立つ

8月20日(水)  広島県北部の神楽舞は約八百五十年前、島根県石見地方から伝わったとされる。当時、島根と広島の県境に位置する広島県山県郡にあった「たたら製鉄所」で、石見の職人らが地元の若者に教えたのがはじまりだ。備後地方では中国から伝来した神楽が定着したのに対し、石見の神楽舞は安芸地方へと拡大。今では北米やカナダ、欧州各国で遠征 ...

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58年目の記憶―犠牲者家族から見た勝ち負け抗争―(下)=「私の息子を殺したのはあんたか」―溝部氏の母は詰問した

8月19日(火)  銃声を聞いたコトは「今晩の音はえらい近かったねえ」。台所で片付けものをしていたコトは溝部に話しかけた。  隣の組合の住宅に住んでいた非日系の役員がよく猫を追い払うため、空に向けて時折発砲していたため、銃声は溝部家にとって日常であった。  手を拭いながら、寝室に近づいたが、もう横になっていると思っていた溝部の姿 ...

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日本文化を踊ろう!=―ブラジルに生きる郷土芸能―=第3回=アルモニア学園=川筋太鼓の魅力=人種、世代を問わず

8月16日(土) 練習では、10代の若者パワーが炸裂  サンベルナルド・ド・カンポ市ルージ・ラモス区カミーニョ・ド・マール通り二七〇九、コレージオ・アルモニアでは昨冬、JICAシニアボランティアの小田幸久さん(五三)のもと、福岡の芸能「川筋太鼓」を始めた。メンバーは五歳の子どもから、三〇、四〇代の親たちまで約八十人。子どもたちは ...

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58年目の記憶―犠牲者家族から見た勝ち負け抗争―(中)庭に用足しに出て被弾=訓練積んでいた実行者

8月16日(土)  夕方に庭先取引の業者がくることはあるが、こんな朝にはあり得ない。愛子夫婦の家は道の突き当たりにあった。  トラックの荷台に甥が乗っており、その手には義理の父からの手紙が握りしめられていた。  「幾太が足に怪我をしたから、トラックに乗ってすぐバストスへ行くように。子供の着物も幾つか持参するよう」といった文面であ ...

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58年目の記憶―犠牲者家族から見た勝ち負け抗争―(上)「国賊」「売国奴」の張り紙―テロ前、溝部家に脅迫状

8月15日(金)  今日は終戦記念日―。しかしブラジル日系社会ではこの時から違う形での戦争が始まったともいえる。日系コロニアで起きた勝ち負け抗争は、様々なかたちで議論、研究されてきた。しかし、犠牲者の家族は声を張り上げることなく、それぞれの人生を歩んできた。今まであまり語られることのなかった家族から見た勝ち負け問題ー。戦後五十八 ...

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日本文化を踊ろう!=―ブラジルに生きる郷土芸能―=第2回=リベイロン・ピーレス=皿踊りからヨサコイまで=本番さながら気迫の練習

8月15日(金)  「こんばんはー!」「お願いしまーす!」。毎週土曜日午後六時半、リベイロン・ピーレス日伯文協会館(リベイロン・ピーレス市セントロ区プリメイロ・デマイオ街五六、村木アントニオ会長)では子どもたちの元気なあいさつが聞こえてくる。声の主は同文協のグループ民舞(川添博代表)に所属する七歳から二十五歳の約四十人。博さん( ...

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日本文化を踊ろう!=―ブラジルに生きる郷土芸能―=第1回=世界に広がる国祭り太鼓=三、四世が沖縄の心で叩く

8月14日(木)  今年は日本移民九十五周年の節目の年。一世紀近くの日系コロニア史を振り返ると、苦難を強いられた体験と同時に、生活に潤いを与えてくれた各地の郷土芸能が思い出される。先人たちは歌や踊りを通して、知恵を出し合い、時には意見を激しく戦わせながら、結束を固め、かけがえのない人間関係を築いたのではないだろうか。ブラジルに根 ...

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政府開発援助=ODAの現場を行く=――環境の世紀に――=最終回=森林再生に近道なし=日伯研究者の取組みは続く

7月31日(木)  大勢の人々を魅了する光沢に満ちたマホガニーの家具――。そんな高級志向が、アマゾンの破壊と密接な関係を持つ。  「マホガニーを国際取引規制の対象種とする」  昨年十一月、チリで開催されたワシントン条約締約国会議で、高級家具などに用いられることで知られるマホガニーが、国際的な保護を受けることになった。  年々悪化 ...

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政府開発援助=ODAの現場を行く=――環境の世紀に――=第七回=荒廃地増えるマナウス=元の森林を回復するために

7月30日(水)  ベレーンから西に向かうこと約一三〇〇キロ。南緯三度、西経六十度にアマゾナス州の州都マナウスがある。約二時間足らずの空の旅の途中、窓越しに大地を覗き込むと、一面の緑と蛇行する茶褐色の川だけが視界に飛び込んでくる。  陸の孤島――。 かつてはアマゾン川河口にあるベレーンから、船での行き来しか手段がなかったことから ...

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