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2008年

百年の知恵=移民と「日本精神」=遠隔地ナショナリズム=第22回 国民の権利を求める移民=問い直される選挙の意義

ニッケイ新聞 2008年8月22日付け  「日本国民」たる最大の根拠である国籍だが、日系人には数万人もの二重国籍者がいる。そのため、日本以外で〃世界最大の票田〃といわれる在聖総領事館で在外選挙を取材した折、不思議な「日本国民」に遭遇することがある。  日本国籍を持っているから投票にはきたが、実は当地生まれでブラジル籍もあって大統 ...

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百年の知恵=移民と「日本精神」=遠隔地ナショナリズム=第21回 血統重視の「日本人」=国籍と一致しない自己認識

ニッケイ新聞 2008年8月21日付け  一般に「日本国民」と「日本人」は同意義だと了解されているようだが、実は完全に同じではない。法的に規定されているのは「日本国民」という単語であり「日本人」ではないという。  国籍を誰に与えるのかという決め事を明文化したのが国籍法であり、そこには国家形成の歴史背景や、時の移民政策や同化政策と ...

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分岐点に立つ若者たち=在日子弟の悩みと将来 第3回=ぴかぴかの「出口」目指して=日本で高校進学に賭ける夢

ニッケイ新聞 2008年8月20日付け  【愛知県発】「今日はまたすごいねー」。爪からこぼれそうなほどのネイルアートを見つけて、NPO法人トルシーダの代表伊東淨子さんが声をかける。  金髪や派手なメイクとは裏腹に、すぐに照れてはにかむのはムラヤマ・ナタリア・クリスチーナさん、十七歳(三世)。四月からトルシーダで高校の受験勉強を始 ...

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百年の知恵=移民と「日本精神」=遠隔地ナショナリズム=第20回 「生まれる」と「なる」=アイデンティティの選択

ニッケイ新聞 2008年8月20日付け  日本の日本人にとって一般的に「日本人」であることは自明で、「日本人に生まれた」と運命的に感じているだろう。  「日本人」であることは、性別などの属性と同様にアイデンティティの根幹を成している。「××社営業部長」「三重大卒」などのようにその時の努力で変わる肩書きよりも、より基底をなす要素と ...

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分岐点に立つ若者たち=在日子弟の悩みと将来=第2回 幸運な出会いに恵まれ=音楽通してブラジルアピール

ニッケイ新聞 2008年8月19日付け  【愛知県発】二時間の講義を終えて、細谷さんに話を聞いた。百年先のことを自分の責任とすんなり言える、むしろそこまで見通していることが驚きで、どうしてそこまで考えているのか知りたかった。  「僕はブラジル人か日本人か日系人か、自分を意識していない。両方とも好きだけどこだわりがなくて、どこか別 ...

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百年の知恵=移民と「日本精神」=遠隔地ナショナリズム 第19回=相対的に形成される認識=「二世、三世、ジャ・セイ!」

ニッケイ新聞 2008年8月19日付け  従来、日系社会では「一世、二世、ノン・セイ(知らない)」という言い回しで、三世になると日系アイデンティティが失われる傾向があると表現してきた。  日本のデカセギ・コミュニティでは、それを逆手に取って「二世、三世、ジャ・セイ(もう分かった)」という表現で、ブラジル人アイデンティティの獲得を ...

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溝部の娘が62年振りに現場へ=バストス=勝ち負け最初の犠牲者(下)=「神も仏もないものか」=組合に尽した父の背中

ニッケイ新聞 2008年8月16日付け  六十二年前の三月七日、溝部が凶弾に倒れて息を引き取ったのは、裏庭の小さな桜の木の下だた。溝部の妻コトは、夫が倒れた時のことを「人間にあんだけの血があるって自分は知らんかった」と、訃報を聞いてポンペイアから駆けつけた次女の愛子さん(88)に話したという。  「『あと一センチ、玉が右か左にず ...

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「父の仇を取りたかった」=溝部の娘が62年振りに現場へ=バストス、勝ち負け抗争最初の犠牲者=(上)=今なお記憶に残るあの日

ニッケイ新聞 2008年8月15日付け  本日十五日で、六十三回目の終戦記念日を迎えた。戦争がコロニアに引き起こした惨事といえば、同胞が傷つけ合う悲劇となった勝ち負け抗争だろう。これにより一九四六年三月から翌年一月までに二十三人が亡くなったが、その最初の犠牲者となったのが、バストス産業組合の専務理事だった溝部幾太だった。その惨劇 ...

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分岐点に立つ若者たち=在日子弟の悩みと将来=第1回僕は夢から逃げない=「日本で成功しなくちゃ」

ニッケイ新聞 2008年8月15日付け 分岐点に立つ若者たち=在日子弟の悩みと将来=第1回 僕は夢から逃げない=「日本で成功しなくちゃ」  【愛知県発】「百年後、自分の孫が僕みたいに泣きながらブラジルに行くんじゃないか、それは自分のせいになるんじゃないかと思う」。細谷レックス・マーク賢治さん(21、三世)は、そういって子どもたち ...

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百年の知恵=移民と「日本精神」=遠隔地ナショナリズム=第18回 ジャポネースがサンバ=〃祖国〃で完結する同化

ニッケイ新聞 2008年8月15日付け  日本の日本人が持つ「日本人」イメージとポ語「ジャポネース」の意味が異なることから、デカセギ日系人は両側から押し出されるようにして、本国のブラジル人よりもブラジル人性の強い「ブラジル精神」を形成しつつある状況を説明した。  それを端的に表現するコメントとして、日系人がデカセギ体験を通して気 ...

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