《ブラジル》コロナ死者が60万人突破=感染拡大明らかに減速=気になる死因未特定者の増加

緑線が死者数、青線がワクチン接種完了者の割合。接種者増加に呼応して死者が減っている(Ana Flávia Pilar/Agência Fiocruz de Notícias)

 20年3月に国内初の新型コロナの死者確認以来571日目の8日、マスコミ集計の死者数が60万77人と発表され、ついに大台を超えた。
 コロナ禍の死者は10万人までが145日、そこから20万人までは152日を要したが、30万人までは76日、40万人までは36日と加速した。
 40万人到達は月間の死者が最多だった4月29日で、その後は減速し、50万人までは51日、60万人までは111日となった。これは、予防接種の進展による感染者や重症者の減少とそれに伴う医療事情改善などがもたらしたものだ。
 だが、死者の増加減速は手放しでは喜べない。ブラジル以外で犠牲者が60万人を超えたのは米国のみで、ブラジルの致死率は米国やインドよりも高い。
 加えて昨年来、死因が特定できない死者がそれまでより増えており、隠れた死者が相当数いる事がうかがわれるし、回復後も借金や後遺症で悩んでいる人も多い。
 9月26日付フォーリャ紙などによると、15~19年は、死因が特定できない死者は7万500~7万5900人、増減幅も2%減~6%増だった。

 だが、昨年は死因が特定できない死者が9万7436人で、19年の7万4972人を30%上回った。両年の差の2万2464人は、昨年のコロナ感染症の死者19万4949人の11・5%にあたる。
 今年1~5月の死因不明の死者3万7824人は、昨年同期の3万7981人に近い。保健省発表のコロナ関連の数字では7日も死因確認中の死者が3128人おり、実際の死者はより多い可能性がある。
 他方、7日のオズワルド・クルス財団(Fiocruz)の発表によると、予防接種が重症化や死亡する例を減少させている。
 4日現在の成人用の集中治療室(UTI)占有率は、27連邦自治区中で二カ所以外は50%を下回った。9月20日以来、中程度の警戒レベルが続くエスピリトサント州の75%と、病床数を減らし、重度の警戒レベルとなった連邦直轄区の83%だけが例外だ。南麻州とゴイアス州も病床数減少で占有率が上昇したが50%以下だった。
 5日以降の死者の7日間平均は483人、462人、437人と減少が続いている。4月10~14日に記録した3千人台に比べて大幅に改善した。

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