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コラム 樹海

 ブラジルで日本語を学ぶ人たちの顔ぶれが、顕著に変わっていくのを、だれよりも教師はじめ教育関係者が把握しているようである▼「日本人の子孫なのだから、ちゃんと日本語を勉強しなさい」、親が子にそう仕向けたのはかなり昔。今は、自覚して始める学習者が増えてきている。近い将来、学習をすすめる親がまったくいなくなることはないだろうが、ほとんどが自発的学習者にかわると思われる。年齢にバラつきができるのも特徴である▼学ぶ動機は、日本文化を日本語を介して知りたい、追究したい、日本で働きたいから、日本の職場で有利だから、などである▼次は日本において外国語が学ばれた話である。昔話になる。日清戦争のころ、中国語要員の不足を戦争指導者たちが痛感したというのだ。そうした事態に遭遇すると、いわゆる国策で学校が設立され、学生が募集される。中国語学習が推奨されるわけである▼現代は、中国とのビジネスチャンスが増大している。国同士の付き合いがぎくしゃくしてくれば、なおのこと、中国語要員が必要となる。幸い、外国語大学がたくさんあり、養成する分には困らない。あとは、意欲的な学習者がいるかいないかの問題だ▼日伯両国の関係において、急いで「日本語」「ポルトガル語」要員をこしらえなければ、という成り行きになることは考えられない。ブラジルでの日本語学習者は、その意味で急激には増加しない。ますます自身の意思で学ぼうとする人たちのみの学習になるのだ。(神)

06/03/24

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