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観光地化へ1歩前進=ラーモス移住地=悲願の道路舗装ついに完成=入植43年、活性化の特効薬に=州知事、島内大使らも列席

 サンタカタリーナ州ラーモス移住地をはさんだクリチバーノス、フレイ・ロジェリオ両市を結ぶ舗装道路(州道SC四五一号線、三十キロ)の開通式が九日午前十時から、ラーモス移住地会館入り口前で行なわれた。ルイス・エンリッケ州知事、島内憲在ブラジル日本国大使、斎藤準一空軍大将のほか、多くの関係者が出席、地域活性化の可能性を確かめ合った。ルイス知事は「フレイ・ロジェリオから先にあるフライブルゴまでの舗装にも取り組みたい」と話し、観光地化を目指すラーモスと近隣のヨーロッパ系コロニアとの連携も示唆した。
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 「四十三年かかりましたが、州政府がいつかはやってくれると思っていました」――。一九六四年にラーモス移住地に初入植した八家族の先陣を切った小川和己さん(78)は、そう感慨深げに話した。
 クリチバーノスまで約三十キロの悪路。作った農作物を運ぶのに、泥道でスリップしたり、荷物を積みなおしたり。大回りして三日かかったことも。
 しかし、今は道路反射鋲がついた立派な舗装道路で約二十分。
 「移住地を出ようと考えたこともあった」と小川さん。しかし、「良いものを作れば、いつかは分かってくれる。そう思ってやってきました」。
 信念が実った九日、開通式会場で、背筋を伸ばし強く語った。
 島内憲在ブラジル日本国大使、佐藤宗一在パラナ総領事、エンリッケ知事、クリチバーノス市のヴァンデレイ・テオドロ市長、フレイ・ロジェリオ市のアントニオ・モアシール・ダロル市長、斎藤準一空軍大将、小原彰元陸軍少将、続正剛元保健大臣ら来賓をはじめ、サンジョアキン、フロリアノーポリスの日系社会関係者ら約三百人が集まり、ともに喜びの日を祝った。
 エンリッケ知事は、式場までの約三キロを完成の具合を確かめるように歩き、式典前には、島内大使とともに桜の木を植樹した。
 多くの関係者の働きかけもあり、同州知事が舗装工事計画書に調印したのは〇四年末。米州開発銀行(BID)から、約二千四百万レアルの資金融資を受け、翌年着工、昨年末には通行可能な状況となった。
 移住地を流れるマロンバス川に架かる橋建設を最後に一連の舗装事業が完了する予定は来月。それに先駆け、毎年約千人の入場者で賑わう桜まつり開催日に併せ、今回の運びとなった。
 同移住地には、山桜三千本が植えられている「さくら公園」、被爆地・長崎市から寄贈された鐘を展示する「平和の鐘公園」がすでに作られている。近日中には農産物産展示長として活用される予定の「八角堂」も完成予定。
 ラーモス文化協会の山本和憲会長は、「日本文化と農作物を特色にした観光化を目指したい」と道路開通を受け、移住地発展に向けての強い意気込みを見せた。
 同移住地にゆかりの深い斎藤空軍大将は、「小川(和己)さんを始め、みなさん頑張った。この道路が通ったのはとても重要なこと」と日本語でニッケイ新聞の取材に答えた。

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