2007年7月21日付け
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アメリカ、インドネシア、メキシコ、アルゼンチン、ペルー、ウルグアイ、パラグアイ、チリ、メキシコ、ベネズエラ、ブラジルなど各国出席者が紹介され、塚田理事長が海外日系人協会の事業報告、上智大学の堀坂浩太郎教授が「イノベーションの時代・ニッケイを知のパイプラインに」と題し、基調講演を行なった。
議長は在亜日系団体連合会の松本アルベルト氏、国外就労情報援護センターの二宮正人理事長、ハワイ・ラジオK―JAPANの富田いくこ社長が務めた。
「海外日系社会の現状と問題点」―若い世代の認識とシニア世代の見方―と題した午前の第一部は、パラグアイ日本人会連合会の小田俊春会長、ハワイ日系人連合会の富永ロイ氏ら各国の日系社会代表者がそれぞれの日系社会の現状や課題などを報告した。
メキシコ日系ユースのヒロ・カシワギ氏は、「団結力は弱く、興味を持つ人も多くはないが、リーダーたちに強いポテンシャルがあるのでまとまっていくだろう」と話した。
ベネズエラ日系人協会の竹内浩之会長は、来年同国が迎える日本人移住八十周年を「今後の日系社会のビジョンを共有、新たな発展を目指す機会」と位置付けた。次世代の積極的な参加を促すため、各地区に日本語教室を開設する予定があることを発表した。
昼食をはさみ、午後の二部「今後の海外日系社会の望ましい姿ととるべき道」―若い世代の訴えとシニア世代の提案―でも各国の代表者がそれぞれの意見を発表、世代交代により、日系社会の団結力が低下していることが共通した現状であることが確認された。
しかし、参加したユースからはそれぞれの活動を紹介、将来の展望などが具体的なプランとともに発表された。
シニア代表者からは「日系人としての誇りを持ってほしい」「これからは若い世代同士〃世界の日系社会〃を作って」などの意見があり、留学・研修制度の継続を望む声もあった。
日本財団ブラジル留学生の福島マルセーロさんは、在日デカセギ子弟を将来の大事な担い手とし、未就学児童らとの交流活動を報告した。
なお、ブラジル日本語センターの谷広海理事長が日本語教師の本邦研修制度継続、サンパウロ日伯援護協会の菊地義治副会長は巡回診療の助成金削減に反対する要望を述べた。
ボリビアの会社経営者、島袋正克氏は、「食糧問題が起これば、南米日系社会は日本の重要なパートナーになる」と関係維持を強調、パラグアイの笠松エミさんも、「日系人は宝というが、本音かどうか疑問」としたうえで、日本政府は日系人に対し、認識を改めて欲しいと話すなど、厳しい意見もあった。
最後に塚田千裕海外日系人協会理事長は、「過去の議論にも増して力の込まったものとなった。どの意見にも日本への愛情を感じた」と評価、「今回の意見を咀嚼して次のステップにどう活かすかを検討したい」と総括した。