ブラジル知るならニッケイ新聞WEB

コラム 樹海

ニッケイ新聞 2008年10月9日付け

 サンパウロ市長選挙を巡って、二年後の大統領選に向けた勢力争いが水面下で激しく進行中との話を事情通から聞いた。興味深いのはPSDB党内の世代間闘争の事情だ▼党の方針に反して出馬した感のあったアルキミン氏(55歳)だが、実は裏からアエシオ・ネーヴェス・ミナス州知事(48歳)が後押しをしていたという。母方の祖父がタンクレード・ネーヴェス元大統領という家系であり、イタマル・フランコ氏以来、大統領を輩出していないミナス州では、若い同氏は「大統領になれる器」といわれる期待の星だ▼この若手連合の突き上げは、年齢的に二年後が最後の出馬機会になる可能性が高いセーラサンパウロ州知事(66歳)にとっては死活問題だ。サンパウロ市長時の副市長だったカサビ氏が所属する古参政党DEMの全伯的ネットワークは、サンパウロ州中心のPSDBにとって二年後に欠かせない要素でもある▼ネーヴェス知事が後押ししたのは、ここで若手が勝てば党内の世代交代が進み、自分が大統領選に出るタイミングが早まるからとの憶測があるとか▼性急な変化を求める動きに、カルドーゾ前大統領ら重鎮が思いとどまるように説得した。「政治家には順番がある」との故マリオ・コーバス氏の口癖をもって説得し、「近いうちに君の番が来る」と説いたが翻意させることはできなかったとか▼選挙は資金と人脈。長けたセーラ陣営は、先に党内の最も有力な人材をおさえてカサビ陣営に提供。現職の強みで圧倒的な寄付を集めたのが、今回カサビ陣営が鰻のぼりに支持率を挙げた理由だとか▼さて決選投票ではPTが本格的な巻き返しを画策中という。これからが正念場だ。(深)

モバイルバージョンを終了