ニッケイ新聞 2009年8月7日付け
ブラジルで同様の行事は初めて。胎内被爆した平崎さんが「十歳で移住して半世紀。ブラジルに平和の大切さを伝えることができないか」と発起人となり、理事を務めるブラジル広島県人会や地元日系団体関係者に呼びかけ、実現した。全国系テレビ局も取材に訪れた。
サンパウロから参加した一行二十五人はレジストロに午後六時に到着。山村敏明FENIVAR会長の案内で同地文協内にある各施設を見学。
レジストロ本願寺であった追悼法要で読経の響くなか、参加者らが焼香を行なった。
導師の住職石田広海さん(80、広島)は、法話のなかで「中学の同級生の半数が被爆で亡くなった。被爆の悲惨さ、平和を念ずることが供養になる」と語った。
続いて、在外被爆者の権利を訴えるブラジル被爆者平和協会の森田隆会長(85)はあいさつで「被爆の体験は生涯忘れることができない。核と人間は両立しない」と表情を引締めていた。
鳥居や移民資料館のある川岸に集まった参加者らは、リベイラ上流から流された百基の灯ろうを見詰め、手を合わせる人もいた。
ブラジル広島県人会の大西博巳会長(64)は、「平和の大事さをブラジルの次世代に伝えることも県人会の役目」とし、ポルトガル語で書かれた原爆の悲惨さを伝えるパンフレットを地元日系関係者に手渡していた。
平崎さんは、「来年からはブラジル人や地元の学校へ参加を呼びかけ、恒例行事にしていきたい」と話していた。